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第39話

 千里眼は拾ったベールを握りしめた。  ベールは破け、薄汚れていた。  他のアルファに汚された、千里眼のオメガのように。  待ったのだ。    まだ幼いオメガを抱いて殺さぬように。   花嫁として迎え入れられるようになるまで。  舐めて味わいはしたが、引き裂き犯すことは留まった。  自分のものになるとおもったからだった。  ここが綻ぶのかと思い、何度も硬い孔を舐めた。  縦に割れた、まだまだ若いそこを。   でも、そこに指さえいれなかった。  何度も何度もイカせはしても。  それはいつかそこに押し入ると信じていたからだ。  熱く自分を欲しがるはずの場所に。  だが。  耐えて待ったオメガは。  可愛いがり、自分のものたと教え込んだはずのオメガは。  他のアルファのに貫かれ喘ぎ、自分から腰を振っていた。  奥の奥まで許しているのがわかる。  そこをもう楽しんでいるのもわかる。  そこで放たれたのもわかる。  自分のモノではない性器を挿れられて。  伸ばすように言った髪は乱れてその白い華奢な身体を包んでいた。 でも、その髪に包まれた身体を犯すのは自分だったはずなのに。  感じることを教え込んだ乳首は他のアルファの唾液で濡れていた。  細い身体が巨大な性器に突かれる度に波打っていた。  教えてない淫らな言葉をもう教え込まれて。  許せるものではなかった。    オメガが何なのかは知っていた。  他のアルファでも、そうされたなら感じるモノだと。  発情期ならば。     だが、【私のもの】が、【他のアルファ】に汚されるなど。    許せるわけがない。  【許せる】【理由】が【ない】。    執着は憎しみと嫉妬に変わる。  嫉妬は欲望と殺意に。  【双頭】を【殺す】  そして、もう汚れた、自分の子供を産むことも出来なくなったオメガを【犯す】  そして、たっぷり犯してから  【殺して】【喰う】  もうそれしかなかった。  それ以外できることがなかった。  ああ。  花嫁。  きっと美しかっただろうに。    その一瞬だけは切なさがあった。  ただ千里眼は勘違いしていた。   思い込みがあった。  オメガを攫い犯すことで有名な【双頭】が自分のオメガもそうしたのだと思いこんだ。  実際には。  攫ったのも。  最初に犯したのも。  【双頭】のアルファではなく。  花嫁と一緒にアルファに犯されていた、少年のようなオメガだった。    双頭をここにおびき寄せたのも。  オメガの少年なのだ。  面白いくらい【千里眼】も【双頭】も少年の存在を気にしてなかった。  【双頭】は少年が何か企んでいると思ってはいても、「とうでもいい」と思っていた。  手に入れるべきオメガが二体まとめて飛び込んできたくらいにしか思っていない。    【千里眼】も【双頭】もオメガのことしか考えていなかった。       そして、最近跋扈している、危険なオメガの存在を知っているはすなのに、その危険さを真剣には考えていなかった。  所詮、オメガだと思っていたからだ。    オメガごとき。と。    でも、オメガに執着していた。  自分達の所有するものとしては。  【殺さなければ、このアルファを】  千里眼も双頭も互いに思った。      【自分のオメガ】を奪われたから、【千里眼】は【双頭】を殺してオメガも殺さなければならなかった。  【自分達のオメガ達】を完全に手に入れるために、【双頭】は【千里眼】を殺してオメガを2体もちかえらなければならなかった。  少年のようなオメガはどこかおかしいがセックスするには問題がない子供は産めないかもしれないが。  子供は少女のようなオメガが産めぱいい。  二人オメガがいればもうオメガを殺さずにすむのだ。  ずっと可愛がってやれる。  【自分達のオメガ達】のために、邪魔者は殺さないといけなかった。  「千里眼、我々ふたりとたたかうか?」  「我々と?」  双頭は一応、戦わず引く機会を千里眼にあたえた。    アルファの礼儀通り。  双頭は二人で一人。  一人で二人。  故に戦闘力はアルファの中でも相当高い。  だからこそ、番のいるオメガ狩りなどができたのた。    「しれたことを言うな!!」  千里眼は下がる気などなかった  アルファとアルファの戦いが始まろうとしていた  

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