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第45話
許せない。
胸がちぎれるようだ。
千里眼は残酷に突き上げる。
本当はもっと優しく抱いてやるつもりだった。
酷くしたとしても、それは、愛しすぎるからだ。
でも、待ち望み、願ったそれは消えてしまった。
オメガだけなのに。
この世界でアルファの隣りにいてくれるのは。
自分だけの。
自分だけの・・・オメガ。
アルファ達は子供の頃からオメガを夢見ながら眠るのだ。
何故この世界にいるのが自分だけなのか。
アルファ達はそう思う。
自分と、他。
それが世界の全てで、アルファは世界と戦い続けている。
自分以外は全て敵だから。
そんな世界の全てと自分だけしかいないこの世界で、違うのは。
だった一人の味方。
自分のだけもの。
そんなオメガのおとぎを信じて。
オメガがいれば。
一人ではないのだ。
オメガなら、どんなに愛しても翌朝には生きて一緒朝を迎えてくれる。
自分だけのオメガ。
なのに、なのに。
奪われ、汚された。
悔しさと切なさ。
貫き、腰を叩きつけた。
甘く甘く。
切なかった。
締め付ける穴も、ほしがる蠕動も、もう、自分だけのためのものではなかった。
他の誰かにも与えられていた。
「喰ってやる。喰えば今度こそお前は私のものだぁ!!」
千里眼は叫んだ。
中に放ちながら。
堪らなく気持ち良く、そして愛しかった。
喰ってしまえばいい。
もう奪われることなく、自分の肉になり、もう離れない。
肉を味わい尽くしてから、頭ごと喰ってやるつもりだつた。
もう。
逃がさない。
離さない。
今度こそ!!
そう思いながら射精した。
今までの人生で一番深い快楽。
だって。
もう。
手放さない。
花嫁を抱きしめた。
花嫁を愛していた。
愛だった、これは。
愛だったのだ。
生まれて母親にすら抱かれることのないアルファの、唯一の愛だった。
オメガは、叫び感じていた。
痙攣し、悶え、アルファにしがみついつき・・・。
そして、その腕に注射器を突き立てた。
腕に刺さっていたのは・・・注射器だった
そう、そして、注射器のシリンダーの中の液体は、アルファの中に注入されたのだった。
「ボクは、お前なんかキライだ!!最初から!!この化け物!!」
オメガはイきながら叫んだ。
アルファの腹に向かって白濁をほとばしらせながら。
「死ぬのは、お前だ!!!!」
オメガの声が聞こえるのと、アルファが自分の異変に気付くのは同時だった。
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