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第46話

 千里眼は、全ての目を見開いてた。  こんなことは想定してなかった。  この目でさえ見えなかった。  いや見ようとしてなかっただけか。  何故見なかった?  オメガが髪かどこかに注射器を隠し持っていたこと。  自分なら見えた。  この眼なら見えた。  視えないはずがなかった。  なのに。  千里眼はゆっくりと倒れていった。  注射器の中身が何かわからないが、アルファ相手に良く効いた。  僅か数秒で    毒物はアルファに効かないはずなのに。  喘ぎながらオメガは自分からアルファの性器を引き抜いた。  花嫁の身体が離れる。  離れてしまう。  離れていってしまう。  それを千里眼はとめられなかった。  「濃縮した番のいるオメガのフェロモンだ。通常量なら、番以外のアルファのフェロモンや精子を阻害するだけだが、濃縮し大量に摂取すると、番以外のアルファを殺す毒になる。俺は特異体質でね、大量のフェロモンを出せる。誘うフェロモンも、番のためのフェロモンのどちらもね。俺のフェロモンを濃縮したモノを注射したんだよ、お前に」|  少年が動かない千里眼の前に立っていた。  そして、千里眼はやっと納得した。  そうかコイツだ。  コイツが。  アルファを殺して回っているというオメガか。  少年の側にヨロヨロと、千里眼の、千里眼の花嫁が寄り添う。  それに嫉妬した。    それは、私のオメガだ。  私だけの。  でも言葉は出ない  毒は深く効いていた。  自分のオメガでなければ。    射すことなど、許さなかった。  このオメガだけは、油断していた。  花嫁はおぞましさものを見るように千里眼を見つめる。    こんなに愛してきたのに。  何故そんな目で?  酷いと思った。  「愛してる、お前は私のモノだ」  やっとのことでそれだけを言う。  でも、最期に聞こえたのは・・・  「お前なんかに殺されてたまるか!!」  そう叫ぶ花嫁の声だった。  千里眼は孤独を知る。  一人生まれて、一人死ぬ。  だった一人。   一人で。  ずっと一人で。  「一人は・・・嫌だ」  それが最期の言葉だった。  「所有することしか考えてねぇ奴は最初から最期まで一人なのは当然だろ!!馬鹿が」  少年は嘯いた。  二人で一人、一人で二人、実質二人とされている、【双頭のアルファ】、  そして、アルファの中でも上位の実力者【千里眼のアルファ】  3体のアルファを殺害。  そして、生きたオメガ一体を確保。  今回の作戦も成功だった。  

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