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第48話
新しいオメガは【花嫁】と呼ばれた。
大体組織では名前ではなく、そういう呼び名で呼んでいるということで。
タクは組織についてなんか少しもしりたくなかった。
一切関わりたくなかった。
でも、少年が教えてくる。
「花嫁だから花でいいだろ」
という少年の適当さで、オメガは花とよばれることになった。
オメガは番以外に名前を教えないので、花も花とよばれても気にしないようだった。
花は少年と違いマトモだった。
支配者アルファに嫁ぐように育てられたオメガなので、家事などは一切できないのは少年と同じだが、それでも、何かしようと努力し、お礼を言ってくれる。
好き嫌いもない。
タクが作ったものを喜んで食べる。
あれが食べたい、これは嫌、などとワガママ放題の少年とは何から何まで違った。
素直で健気で可愛い、オメガのイメージらしいオメガだ。
でも、居座られていることにはかわりなく、早く出て行って欲しい、とタクは少年にも花にもそう願うばかりだった。
少年は花を妹のように可愛がっていた。
これも予想外だった。
花も少年を慕っていた。
嫁ぐ途中で攫われ、少年にレイプされたらしいのだが、(聞きたくないのに知ってしまった。今回は複数のアルファが死んだことも)何故かものすごく少年を花は尊敬していた。
「ボク、今やっと生きてるんです。この人に会えなければボクは単なる性具でした」
花は笑った。
タクもオメガの生態についてはよく知らなかったが、数ヶ月に一度の発情期は抑制剤を使用すれば、なんとか耐えれるものらしいし、花のように番にされたオメガなら、フェロモンの影響を他人に及ぼすこともない。
ムラムラするのは別にベータを使ったりディルドを使えば、まあ、なんとかなる・・・とのことらしい。
夜、少年がディルドで花を慰めてるのを見てしまう。
というか、ここはオレの家なのに、なんでこんなに好き放題にしてんの、お前ら。
少年も花もタクの目を気にしないし、少年は花を慰めた後はタクを襲ってくるし。
「花とは一回しかしてないからな。本当だ。それにこれはオナニーの手伝いだ 」
少年はとにかくすごい言い訳してくるし。
でも、花と少年のエロイとこは、目の前でされたならどうしても見てしまうし、でも、エロくても花なんか少年以上に子供だから罪悪感満配で、もう見るだけても死にたくなるし。
でも見たら勃つし。
タクは色々限界だった。
でも、花は幸せそうだった。
タクと少年と暮らせて嬉しいとか言ってくるし。
なんでオメガは人をふりまわして平気なんだとタクは泣きたくなるし。
でも、花は本当に幸せそうだった。
「アルファがオメガには絶対必要なわけじゃないなんて、ボク、知らなかったんです」
だから花は嬉しいのだと。
「オメガは籠の中に入れられて、生かすも殺すもアルファ次第だと思っていたので」
良いアルファを得ることだけがオメガの幸せだと。
でも、抑制剤さえあれば、アルファは必要ないこと知った今、花は本当に嬉しそうだった。
「あの人の言う通り、アルファを殺して自由になったんてす」
花のその言葉をタクは聞かなかったことにした。
やめて。
ノーモア、殺人。
少年はナイフの使い方などを花に教えていた。
されたくない時にされそうになったら、こうやったら殺せるんだとか教えていた。
オメガの身体能力の高さと学習能力の高さをタクは知ることになった。
隠し持ったナイフを一瞬で煌めかせ、決められた場所に向かってナイフは刺さる。
花も簡単にやってのけた。
オメガの身体能力は凄まじい。
少年は小さな身体で、170センチ以上はあるタクをお姫様抱っこくらいできる腕力もあるのを、タクはもう知ってはいる。
押さえつけられたら身動きできないし。
「したくない時に無理やり迫られたら殺せ。したい時は誰としてもいい。お前がソイツでいいならな」
少年は花に教え込んでいた。
なんだかんだとタクと少年と花は暮らしていたのだっった。
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