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第56話
「タク・・・タク・・・」
少年はその名前を夢見心地に囁く
今までは我慢していた、タクの唇を貪る。
唇を舌で割り、タクの舌を舌で擦すり、噛んでなめた。
タクを味わう。
自分だけの男は。
愛しい恋人は旨かった。
そしてまた淫らに腰をくねらすから、タクの悲鳴が喉の奥から生まれる。
イったばかりなのに。
そんなことをされたなら。
でも、まだ硬さを失っていなかったタクのそこは育っていく。
それが可愛い。
泣いてる顔がたまらない。
泣かせたい。
喘がせたい。
いつか怖がるタクを壊してしまいたい。
際限なく欲しがる化け物に変えたい。
そうなったら、ドロドロにとけあって、二度と離れないてすむ。
二人で死ぬまで混じり合うのだ。
「もう・・・無理ぃ・・・無理ぃ・・・もう無理ぃ」
タクが泣く。
唇をふさがれて言葉にならないその言葉さえ食い尽くす。
「ダメ。今日は沢山する」
そっと優しくその耳に囁き、淫らに腰をつかい、愛しい男をその身体で食らいつくす。
なんて旨いのか。
愛しい男のそこは。
孔で扱いて、絡みつき、先を奥を使って吸いながら、味わいつくす。
脈打つ熱さ。
鳴く声。
しがみついてくる腕。
無理だと泣きながらそれでも貪欲に動く腰。
涙が溢れる目は、いつもの困惑やと戸惑いを投げ捨てて、快楽と恐怖に溺れてる。
それでも。
許しは求めても。
拒否じゃない。
怖がっているけど、嫌悪じゃない。
それに何より。
「俺が好きなんだな」
それを幸せな気持ちで少年は言う。
タクがそう言った。
知ってはいたが、言われてみたら最高だった。
足りなかった場所を満たされるような気持ちで。
満ち満ちていく。
だから中も満たしたかった。
タクので。
「言った・・・言ったけどぉ・・・」
タクが助けを求めるように、天にむかって腕を伸ばしながら少年の中で果てる。
早いが気にしない。
いくらでもできる。
今日は。
いつものように手加減しない。
そう決めていた。
もうタクはバイトなんかにいかなくていい。
ずっと自分の隣りいるのだ。
もう、あのアパートもないのだし。
少年はタクの精液で満ちるのを喜んだ。
「お願いお願いお願いお願い」
そう泣くタクに優しくキスして、またゆっくり動きはじめた。
「ダメェ!!!」
タクは悲鳴をあげた。
「愛してるよ、タク」
少年はうっとり言った。
ただこの世で一人愛する男に。
「許してぇ・・・」
タクの泣き顔は最高だった。――
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