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第57話
「これはこれは」
アルファは楽しそうに笑った。
赤い髪を靡かせ、黄金の肌をきらめかせ、その青い単眼を細めて。
その区画は完全に瓦礫の山だった。
少年を見張らせていた連中も吹き飛んだ。
派手に何もかもを完全に吹き飛ばしていた。
「こちらの予想をいつも外してくるな」
アルファは笑いを止められない。
こんなオメガがいるか?
アルファを犯して殺してまわり、あげく、自分が助かるために周囲を巻き込むことなど気にせず破壊していく。
自分さえ良ければいいのだ。
あの少年は。
なんと愉快な。
可愛い。
とても可愛い。
犯されてひたすら泣き叫んでいたというのに、今じゃこんな立派なテロリストだ。
泣き叫ぶあの子を犯した時のこと、
そしてまた犯す日のことを考えるとゾクゾクする。
こんなオメガ。
他にはいない。
違うオメガを自分の仲間に引き込んでみせているし。
組織の中で単なる武器以上の地位を高めていっているのもわかっている。
傲慢無礼な性格だが、頭が切れて、蛇のように賢い。
そして、絶対にあきらめない。
黄金のアルファはゾクゾクしてきた。
あの子は諦めない。
この自分を殺す瞬間まで諦めないない。
追いかけられているのは自分の方だ。
だが捕まえるのはこちらの方だ。
そして、【初めて】犯したあの時のように抱いてやろう。
今度は。
今度こそは。
お前を完全に壊して自分のものにしよう。
美しい。
自由にならない魂こそ美しい。
壊れる瞬間は最も美しいだろう。
壊せなかったあの瞬間から、こちらはもう恋に落ちている。
壊す瞬間のために愛している。
きっと壊しても、壊れてきったお前を抱き続けても、それが消えることはないだろう。
たまらなかった。
笑った。
たのしすぎた。
傍らにいる玩具のオメガが、怯えたような目でこちらを見る。
あの頃のあの子と同じ年頃のオメガだ。
使うことも使われることも互いに当然になっている。
アルファとオメガの番らしく。
「服を脱いで四つん這いになれ」
命じはしたが、優しい声だ。
従うのがわかっているからだ。
躊躇いはみせても、大人しくそうする。
どんな人ごみの中だろうとそうするだろう。
命令に従うモノだから。
まあ、今はこの辺一帯を封鎖して誰も入れてないから、ここにいるのは自分とこのオメガだけだ。
小さな尻をなでる。
でも、白くていやらしく、後ろの穴は性器として縦割れていて。
びくりと震える。
服従を教え込んではまだ日が浅い。
だが、もうその中で感じることも、欲しがることも良く知っている。
震えているのは、もう恐怖だけではない。
それがおかしくなって笑った。
美しい刺繍を施した民族風のズボンをずらし、巨大な性器を取り出した。
それはあのオメガを想ってもう凶悪に猛りくるっていた。
アルファのモノらしい、瘤だらけで醜悪で凶暴な性器は、食い尽くす存在を求めていた
小さな尻を掴んで乱暴に突き入れた。
そこも、もう濡れていた。
哀れなオメガは悲鳴を上げた。
でも、そこは柔らかくアルファを包み込んでくる。
甘い。
オメガはいつだって甘い。
崩れ落ちるオメガを気にせず犯していく。
思いのまま突きいれ、回し、楽しむ。
それでもオメガは感じている。
突いてやれば、突っ立てたそこから、思い切り迸らせる。
ああっ
あああっ
許してぇ
許してぇ
オメガは泣き叫ぶ。
目を剥き身体を震わせながら。
「許すも何も。お前はこの為にいるんだろ」
アルファは鼻で笑った。
あの子は許しなど乞わなかった。
違う。
全く違う。
だが、これはオメガだ。
アルファのための穴だ。
楽しむ分には問題なかった。
「あああっ・・・いいっ、いいっ・・・」
オメガは泣き、イキ続ける。
オメガでなければ壊れてしまう。
オメガは快楽にも強い。
それは心や身体を明け渡す、空っぽに出来る精神構造を兼ね備えているからだ。
その構造が壊されるはずの心を守る。
あえて支配されることでオメガは責め苦を快楽に変えて耐え抜くのだ。
もう、夢中に欲しがる肉塊にオメガは変わってそれが可愛い。
「可愛いな」
髪をつかんで乱暴に犯しても、それは乱れて喜ぶ熱くて甘い肉体でしかない。
でも、あの子はこうならなかった。
どこまでも、傲慢な魂のままだった。
あの子を想ってオメガを使った。
あの子とは比べものにならなくても。
アルファにはオメガが必要だから。
「早く抱きたいよ」
アルファはオメガの中に放ちながら、遠く離れた場所にいる少年に言った。
お前は俺のものだ。
どこへいても。
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