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第58話

 そのアルファには目がなかった。  鼻も目も耳もない。  なめらかな白い皮膚が頭部を覆っていた。  白い頭部にあるのは切り目のような口だけだ。  その口に胸をオメガは愛されていた。  切り目のような肉の間に乳首を挟まれ、包み込まれる。  熱い肉の間に性器を挿入されるような感触が乳首を包む。     オメガはそれが好きだった。   だから、甘く甘く鳴いた。  オメガはもう何人も子供をうんだ、大人の色香を放つ肉体をもっていた。  熟れきった乳首。  柔らかな尻、  そのオメガは女性的ともいえる魅力に溢れていた。  オメガは男でも女でもなく、オメガなのだが、男性的だったり女性的であったりする個体差はある。  そのオメガの柔らかな肉体は胸のない女性のような身体付きで、細くはあっても、柔らかさを見ているだけで感じさせた。  目も耳も鼻もないアルファが挿入しながら揉みしだく尻は小ぶりではあっても柔らかく、その感触をアルファが楽しんでいるのはわかった。  だけど、女性にはない、身体の割には大きな、男性器に見える疑似性器が、ぬれながら揺れていて、余計にオメガを妖しく見せていた。  オメガはオメガだ。  見ればわかる。  男性でも女性でもない。  アルファのためだけに存在する、アルファを受け入れるためだけの器、オメガなのだと。  吸われ尖らせるためにだけにある乳首。  柔らかな唇は、舌や性器や指に犯されるためだけにある。  毛穴から発する匂いはどこまでも、甘く。  皮膚が蒸れてしまうところの臭いは尚更甘い。  疑似性器はしゃぶられ、愛されるためにあり、    その孔は女性のものとは違ういやらしさがあった。  縦割れ、指で割開いたなら、淫らな赤い肉の色がするところは、シロップを塗ったように甘く塗れ、誰もがそこを味わいたくなる。  オメガに人間は狂う。  それにはアルファもベータも。  男も女も関係なかった。  皆がむしゃぶりつかずにはいられない。  その肉体は甘い。   どこまでも、甘い。  その穴は今日も巨大なアルファの性器を受け入れていた。  オメガにしか受け入れられないアルファの性器を。    くちゃくちゃ  くちゃくちゃ  いやらしい水音を立てて、性器は孔の中をかき回している。  いいっ    気持ちいいっ  もっとぉ  性行為に慣れきったオメガがいやらしく叫ぶ。  自らも腰をくねらせながら。    歯のない切れ目のような口から厚い舌が伸び、熟れきったオメガの乳首を舐めていた。  厚い舌は乳首を擦りあげ、その感触にもオメガは反応していた。  熟れきったその乳首は果実のようで。  アルファじゃなくても齧り、味わいたくなるものだった。  オメガは自分の疑似性器を自分で弄る。  さらなる快感を求めて。  その貪欲さは怖いほど、淫靡だった。       「もっとぉ・・もっと頂戴・・・」  オメガは疑似性器から白濁を、ほとばしらせながら訴えてくる。  中で締め付け絞りとりながら。  そのいやらしさにアルファは喉奥で呻いた。  何度抱いても。  毎回毎回いやらしい。  「中にぃ・・・中にぃ!!!」    オメガは子種を欲しがった。  本能のまま。  アルファは低く笑って、オメガを激しく突き始めた。  オメガの望みを叶えてやるために。  白い柔らかい身体が、柔らかい弾力のまま揺れる。  アルファの肉体にまとわりつくように。  柔肌に食い込むアルファの指。   肌さえ指を離さないように吸い付いてくる。  淫らな肉体。  柔らかな白い肉体。   皮膚の下には甘い綿菓子が詰まっているかのよう。  自分から唇を開けて舌を突き出し、オメガは舌をもとめた。  アルファの長い分厚いしたで、喉まで犯して欲しいと。  アルファは与えてやった。   巨大な舌を性器をしゃぶるようにオメガは舌を求めてきた。  アルファは喜んでその淫らさで満たしていく。    喉まで分厚い舌て犯しながら、孔の最奥を楽しみ、そこでたっぷりと放った。  こんなに犯しがいがあるのはオメガだけた。  毎日毎日抱いても飽きない。  幼い頃も。  熟しきった今も。     オメガは旨くて仕方がない。  慣れず泣き叫ぶ幼い頃も可愛かったが、蕩けた先にまだあった淫らさを見せてくれる今も可愛い。  また子供を産ませよう。  そう思った。        

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