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第68話

 服を着せてやる時もタキは無抵抗だった。  中にたっぷり出したから、掻き出せなかった分は後から出てくるかもしれない。  それは言っておいた。  タキはそれを聞いて、黙って顔を覆ったけれどもう泣かなかった。  タキだって花の中に出したのだからおあいこだ。    可愛いタキ。  花に触れられたなら少し震えた。  でも、花から逃げようとはしない。  目を合わせないけど、肌の全てで花の動きを探ってる。  気持ちの整理をする時間はあげよう。    恋した少女はオメガだった。   で、しかも後ろの穴まで犯されたのだ。  でも。   もうタキは花から離れられない。  それが花には分かっていた。  「ずっとずっと可愛いがってあげる」  花は微笑んだ。   花がキスしたら、タキは震えて。  でも。  抵抗しなかったし、自分から唇を開いた。  花は、何にも知らないタキに、教え込む楽しさに酔いしれた。  もう一度犯そうかと思った位だ。  でも、タキが震えているから。  心の整理がつくまでは、そうすべきてはないと思った。  「お母さんについて教えて。お母さんがなんで嫌いなの?オメガだから?」  花は聞く。  今日はもう情報だけでいい。  でも、タキの震える指をそっと握りしめてたし、タキの肩に頭をのせて甘えもした。  タキは花の身体にちょうどいい。    頭を乗せるのにも、抱くのも抱かれるのも。  お兄さん以外はみんな大人だったし、上級生も大人並みの身長だから。  「オレ達のことなんか忘れてるから。セックスしかしないから。セックスのためにだけしか存在してないから」  タキはつぶやく。  その言葉に力がないのは、今、何もかもを忘れてセックスに溺れてしまったのが自分だからだろう。   後ろを犯されることさえ、感じてしまったからだろう。  快楽に溺れるタキは花には可愛くて仕方ななったのだけど。  「オメガにセックスは食事みたいだってのは認めるよ。でも、それ、お母さんだけのせい?オメガだけのせい?」  花は優しく聞く。  オメガは性に貪欲だ。  だが、それは罪なのか?  オメガは性玩具のように語られることもある。  だが、同じく性に貪欲なアルファはなぜ、軽蔑されない?    何より。    アルファの繁殖と性交のために生まれたのがオメガなのだ。  なんで、そんなことが許される?  人間を繁殖と快楽のみの道具にすることが?  「お母さんはどうやってそうなっていったの?」  花はタキの指を弄びながら言う。  タキの指は震えていて。  とてもとても愛しかった。  「父さんが。毎日、毎日・・・」    タキはうめく。  父親の独占欲は異様だった。  子供達が母親に抱きしめられることにすら嫉妬した。  子供を父親より優先した時には、母親を父親はどこかへ連れて行く。  そして、母親は数日父親に責められるのだ。    「愛してくれてるの」  母親はそう言っていた。  籠の中の鳥のまま。    「愛してくれてる」  母親は虚ろになっていく。  母親はどこにも行けない。  閉じ込められて、父親を愛する以外、何も許されない。  そして、父親しかみなくなった。  子供達をわすれた。  どこででも自慰を始めるようになった。  父親とすることしか考えない。  父親は歓喜した。    父親は優しい。   母親に関すること以外は優しい。  アルファの愛はとても深い。  だが。  父親は。  子供達から母親を奪ったのだった。  自分のためだけに。  「悪いのは誰?」   花は聞く。  もう知ってた。  本当は分かってた。  母親のせいじゃないと。  ただ、タキは泣いた。  花はタキの頬に優しく何度もキスをしてやった。  「お母さんを助けよう?ボクと」  花は打ち明けた。  母親を救う方法は一つしかなかった。    

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