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第70話
侵入者に怒り狂った白面だが、すぐに気づく。
目が見えない分だけ、肌全体に嗅覚と聴覚があるのだ。
いや、ここまでの匂いなら誰でも気付く。
むせかえるような匂い。
匂いと音、そして、赤外線で見える以上に世界を認識しているからこそ。
匂いだ。
匂いだけならすぐにわかったはずだ。
これほどの匂いをさせているオメガが近付くまで気付かないはずがない。
発情したオメガの甘い匂い。
今抱いてる、番のオメガの匂いとはまた違うそれ、は甘くアルファの脳を焼いていく。
まだ番を持たないオメガのフェロモンは、番にのみ放たれるフェロモンよりも強い。
番がくれるフェロモンは、自分だけにカスタマイズされたからこその甘さや優しさがあるが、番を持たない、つまり、全てのアルファにむけて放たれるオメガのフェロモンは暴力的ですらある。
可愛いオメガを激しく抉りながら、白面は耐えた。
欲しい。
欲しい。
これも欲しい。
そう思ってしまうことに。
他のオメガなどいらない。
自分にはこのオメガが。
愛しい完璧なオメガがいる。
それに。
この屋敷にどうやってだか、侵入してみせた番のいないオメガだと?
そんなの。
アルファ殺しをしてまわっているという例のオメガに間違いない。
そんなモノを抱くつもりはなかった。
自分には可愛いくて、甘い肉がある。
歯のない裂け目のような口で可愛いオメガの乳首を味わいながら、孔の中で匂いに反応している性器を回してこすって宥める。
愛しい孔は蠢き包んで癒やしてくれる。
匂いの持ち主はもう、ベッドのすぐそばまて来ていた。
アルファは自分のオメガを離さない。
変にオメガから離れたなら、このオメガに襲いかかってしまいそうだ。
そして、それがこのオメガの狙いなのだ。
それは。
美しいオメガだった。
美しい15才位の少年のようなオメガ。
張り詰めた美しい肌を持つ、甘そうな乳首と、ずっとしゃぶってやりたくなるような可愛い疑似性器を持つ・・・
そう。
オメガは全裸でベッドの横に立っていた。
股の間は濡れていた。
孔から零れる愛液で。
匂いが。
匂いが。
強すぎる。
可愛いオメガの顔ではなく、そのオメガの勃起した疑似性器と濡れた股を見て、白面は射精していた。
可愛いオメガ以外のことを考えて。
肌が。
匂いを吸収している。
匂いが思考より先に脳を支配している。
これは。
これは。
良くないことだと、白面のアルファは気が付いた。
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