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第72話

 キシャア  キシャア  喉だけではなく、全身の皮膚を震わせ、アルファは吠えた。  その震えに感じてオメガがまた身体を痙攣させた。  中のアルファの性器さえ、震えたから。      切り目のような口が開き、穴のような口が顔のほとんどになる。  アルファの顎の関節は人間のように固定されていないのだ。  穴のような口から赤い蛇のようか舌がのたうった。  恐ろしい姿だった。  ただでさえ、不気味な姿をしたアルファが、美しいオメガを犯している光景は異様なものなのに、さらにその変容した姿は地獄で化け物に犯されているようだった。  「ブルブル震えてバイブかよ」  少年は鼻で笑った。  全く怖がってなかった。  アルファは驚いていた。  アルファでも、アルファを恐れる。  油断はしない。  まして、ベータやオメガなど。  自分のオメガでも、自分に何でも言っていいわけではないのだ。  「試しに使ってやるから、寝転べよ。俺のバイブにしてやるよ」  少年はベッドに上がってきた。  そして、脚を開いて孔を見せつけてきた。   指で広げる。  濡れて。   甘い。  赤く熟した粘膜を。  怒りなのか。  欲情なのか。  アルファの中で何かが滾る。  匂いは凄まじい。  オメガの。       オメガの匂い。  喰らっているはずなのに、餓えていた。   愛しくて可愛いオメガの中にいるのに、欲しかった。  「可哀想だな、お前ら所詮、本能の奴隷でしかない。俺がムカついて嫌いだろうが、俺が欲しくて仕方ないだろ?俺のフェロモン量は通常の倍以上だ。本能に従うしかないお前らには耐えられねぇだろ」  クスクス少年は笑って、自分の孔を誘うように自分で弄る。     たっぷりとした蜜がもれていく。    アルファは唾をのんだ。      そこを味わいたい。    そう思ってしまったからだ。  愛しいオメガの中でまた弾けるばかりに大きくなる。      揺すって味わっているのに、やたらと喉が乾く。  ああ、あのオメガの蜜を舐めたい。  思考が奪われていく。  愛しい。  愛しい。  このオメガを愛している。  愛しているんだ。  必死でその孔を求める。    自分のための。  自分だけの。   なのに。   なのに。  なのに。    視線少年の孔から目が離せない。  いや、目で視てるわけではないが、見える以上に見える。  その孔の熱ささえ。  滴る蜜の完食さえ、離れていてもわかる。  匂いが。    匂いが。     匂いで世界を感じているからこそ、やられてしまう。   脳の中まで溶けそうだ。    匂いの濃さでその孔を再現している。   触れるばかりに。  「そのオメガを置いて、俺とするんだ、なぁ?」  少年は腰をあげて、見せつけるように揺らしてはみせた。  甘い汁が垂れていく。       少年だって欲しがっているのだ。  甘い。  甘い。     熱い。  熱い。  いや、殺せ。   殺すんだ。  あれは危険だ。   力では絶対にオメガはアルファに叶わない。  「食いたくねぇの?」  少年は、ピンクの乳首を自分で摘まんでみせた。  それを咥えて舌で味わうことを思った。    思ってしまった。  締め付てくるこの孔を愛しているのに。  柔らかいこの肉を愛しているのに。  「嘘つけ。お前ら、犯せりゃなんでもいいんだよ」  少年は見透かすような目で笑った。  こんな目のオメガは知らない。  その金色の目は、透き通る氷のように冷たい。  匂いが濃くなる。  舌から唾液が止まらない。  連続で射精していた。  貫きながら。   何度も。  何度も。  そんなの初めてだった。  流石に抱いているオメガは意識を失っていた。  だから。   だから。   もうオメガは見てないから。  愛しいオメガが見てないなら。  「おいで。俺の中に」  少年の言葉に誘われた。    ゆっくりと引き抜いた。  何時間も挿れっぱなしたった陰茎を。  でもそれは、今、一番凶悪な硬度と大きさを誇っていた。    ギシュル  ギシュル  アルファは人語を忘れて、皮膚を震わし唸る。  「来いよ、バイブ野郎。使ってやるよ」  少年があざ笑い、白面は少年へと襲いかかったのだった。              

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