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第74話

「俺のフェロモンを、番向けのフェロモンに変えたならこの通り!!番じゃないオメガのフェロモンは大量だとアルファを殺す唯一の毒になる」  少年が笑う。  そう。  少年は組織の【博士】によって身体を弄られていた。  大量のフェロモンを放出できる。 その上、特異体質で、番を得てるのに、番がいないオメガのフェロモンも出すことが出来た。  アルファは。  フェロモンに弱い。  ベータよりもオメガよりも、フェロモンに弱い。    どんな毒も効かないアルファに唯一効く毒。  それがフェロモンなのだ。  オメガは番を得たら出すフェロモン量は減る。  しかし、番にのみ効くフェロモンを微量に出す。    これは、微量であっても、番であるアルファには最大限に効く。  番以外のアルファには、欲望を誘発する効果はない。  その代わり、番以外のアルファの精子などを拒否する効果がある。  アルファを拒否するのだ。  フェロモン自体が毒ではない。  番以外のアルファに対して、オメガの身体自体が、アルファを拒むモノになり、フェロモン量を大量にしたならば、オメガの身体はアルファを殺す凶器になる。  その粘膜から出る甘いはずの液体は、アルファを焼き溶かす溶液になる。  体液のすべてが、アルファを殺す毒になる。  番以外を拒否しているから。  もちろん。  通常のオメガはここまでのフェロモンは出せない。  番以外のアルファの精子を受け入れないで殺す位が精一杯だ。  でも、少年はそのフェロモンを大量に出せる。  だから。  アルファの性器は孔の中で焼き切れたのだ。  もがれた性器の後から血が吹き出した。     カギィヒィィイ  カギィヒィィイ  皮膚を声帯代わりに震わし、アルファは叫ぶ。    動けないのは、肌から鼻から、フェロモンを吸い込み、オメガの体液も吸収してしまったから。  それは。  猛毒だった。  笑いながら、肉が溶け出した巨大な陰茎を少年は孔から取り出す。  そう、人間と違い、アルファの陰茎には骨があるのだ。  陰茎骨が。  じゅう   じゅう  音を立てて肉は溶けていた。  その溶けかけた肉がこびりつく陰茎を、少年は舐めてみせた。  唾液にさらに溶ける。  「お前は死ぬ。もう10分も持たない」  少年は言った。  白面はそうだろうと納得した。  それはいい。それは。  白面は必死で動こうとしていた。  死ぬなら死ぬでいい。  この世界はゲームだ。  負けて死ぬのを怖がるアルファなどいない。  相手がオメガだったのは・・・予想外だったが。  でも、負けた。    仕方ない。  だが、そこじゃない。  それはいい。  「動けるのか。凄いな」  少年は感心した。  でも、白面の顔面を蹴りとばした。  小さな身体からは予想もつかない力で、2メートル以上は余裕である白面の巨体が、巨大な寝台から突き落とされた。  白面はそれでも必死で這う。  少し。  少しずつ。  「お前の望みはこのオメガだろ」  少年は白面の愛しいオメガを引き寄せた。  オメガは白面の性器が焼き切られもがれたことも、白面が死にかけていることも気にせず、ひたすら自慰に狂っていた。  「挿れてぇ・・・お願い・・・」  そう泣きながら。  ああ、愛しいオメガ。  妻。    ただ一人の番。  閉じ込めて自分以外を見つめることを許さなかったのはとても愛していたから。   置いては死ねない。  殺さないと。  殺さないと。  他はどうでもいい。  お前だけは私のものだ。      白面は床を這う。     必死で進む。  自分のオメガを殺すために。  「ホント、お前最悪だな」   少年は初めて真顔で言った。  「この人はお前のもんじゃねーよ。最初からな。一度だってな」  少年は、子供のようにむずかるオメガに優しいキスをした。  その美しい、柔らかい唇に。  白面は吠えた。  誰にも触れさせたくなかった。  そうされる位なら殺したのに。  必死で這う。  一センチを、最大限の力で。  「下から見とけ」  少年は寝台の上から傲慢に白面を見下ろし言った。  そして、オメガの両脚を押し広げのしかかかる。  オメガは喜んだ。  甘えるように少年の首に腕を回す。  「よくしてやるよ・・・それに、お前の子供にも会わせてやるからな・・・」  少年は耳をかじりながらオメガに囁いた。  「・・・赤ちゃん?」  舌足らずにオメガが言った。  とても嬉しそうな顔で。  「私の赤ちゃん・・・」  クスクスオメガは笑った。  楽しそうに。  「ああ。あんたの赤ん坊だ。かなりでかいけどな、二人とも。オムツは変えなくてよさそうだ」  少年の声は優しかった。  そして、少年はオメガに挿入した。  オメガは甘い声を上げた。  少年の後ろの孔はまだ巨大な性器に貫かれたため、まだ締まりきってはいなかった。  そこから、アルファの精液を垂れ流しながら、同じくアルファの精液を零す、オメガの孔を犯していた。  ああっ     いいっ   オメガが甘く溶ける。    アルファでなくても。  それを白面は床の上から見ていた。  自分のオメガが他人に犯され喜ぶ姿を。    死に向かいながら。  必死で這った。   這って這って。  殺そうとした。     連れて行かないければならない。  誰にも。  誰にも。  渡したくない。    渡したくなどない!!  この世界でただ一人なのだ。       他の誰もいらない。     あのオメガだけで良かった。    連れていかなければ。  白面はオメガにむかって床から手を伸ばす。  気持ちいい  気持ちいい  オメガは少年に犯され喜んでいた。  オメガが悦ぶこえを聞きながら。  寝台にたどり着くことなく、アルファは死んだ。    「あんたはもう。自由だよ」  少年はオメガに優しいキスをした。    

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