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第77話

 アルファの権力ゲーム。    それが何なのかもアルファ以外は良くわかっていない。  ただ、アルファ達は自分達だけでゲームを取り仕切り、その結果がこの世界の支の構図に反映されていることだけは知られている。  アルファ達はこの世界でボードゲームをしているのだ。  命がけで。    アルファを育てるセンターもある。  アルファは生まれたなら、家族から切り離され、アルファとして育てられる。  だが、詳しいことは何も知らされない。  育てられるアルファ達にさえ。  成長して、センターを出されたアルファは、文字通り無一文からほうりだされて、ゲームをスタートするのだ。  自分で情報を集め、ゲームに参加し、最初はどこかのアルファから支配圏を奪わないといけない。    ルールは一つ。  アルファはアルファだけで勝負をすること。  基本的にベータなどを巻き込まない。  そこが、アルファが多少快楽のためにベータを殺しても、アルファの支配を人々が支持するところでもある。  アルファの支配こそ人類の平和だった。  アルファの戦争は。    自分達だけで行われる。  肉体をつかったアルファ同士の戦いが行われることがあっても、アルファは無駄に、自分達の財産である人間達を減らすような、人類がしてきたきた愚かな戦争などしないのだ。  奪うために挑み。  そして勝ち取る。  もちろん勝負で殺されることも。  アルファはアルファを殺すのだ。  奪うためには。  それがオメガの奪い合いであることももちろんある。  だが、アルファは無駄な殺害は好まない。  大概はゲームですませる。  ゲームが、全て。  ゲームの覇者がこの世界を支配するのだ。    白面は。  この地域では有数の権力者だった。  少年は。  ゲームに参加して、その権力を広げようと考えていたし、アルファを殺害していこうと思っていた。  アルファは必要以上にアルファを殺さない、  それはアルファがアルファだからだ。  だが、少年はオメガなのだ。  アルファを殺さない理由がない。  ゲームだ。   ゲームを使え。  権力が上に行けば行くほど、情報にもアクセスできる。  必要だった。  全てのアルファを葬り去るためにはどうしたら良いのかを知るために。  少年は白面の書斎を調べあげ、情報もれを恐れたためか、手書きの日記も読んだ。  パソコンなども組織のチームをつかって解析していく。  ゲームの実態を知るために。  そして、参加するために。    白面はこここに閉じこもり、ゲームに参加していたのだから。  少年にも出来るはずだ。  少年はアルファとして、ゲームに参加しようとしていた。    

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