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第81話
アルファの歴史。
それはアルファにすら隠されていた。
アルファですら最低限のことしか知らない。
だが。
少年はアルファの歴史にこそ、アルファを滅ぼすヒントが有るはずだとおもっていた。
異世界からやってきた生物達が、どのように人間を改造してオメガを作り出し、そのオメガに自分達の子供を産ませたのか。
そして、人間の遺伝子をからどうやってアルファである自分達を、再生産できるのか。
全く異なる生き物が人間の遺伝子から生まれてくるのだ。
組織の【博士】も【医者】もこれは科学では説明できない、と言っていた。
【アルファ】も【オメガ】も。
人類ではないのだ。
【ベータ】とは遺伝子情報から何から何まで違う存在なのだ。
全く何もかもが人間、ベータとは違う。
だがアルファもオメガも。
ベータからも産まれるのだ。
全く誰にもそのわけがわからないままで、医者は【魔法】だと言っていた。
そう。
そうとしか考えられない。
だが。
アルファ達は何かをして、人類を乗っ取った。
その何かとは何だ?
少年は考えている。
アルファ達がしたこと、それがわかれば、逆に・・・。
人類からアルファを切り離せるのではないか?
アルファが手を加える前の状態へ。
それらの歴史は。
どこかにあるはずだ。
何故なら、またこの世界が滅びかけたなら、アルファ達は人類を捨てて、新たな寄生先をみつけるはずだからだ。
その情報は。
アルファのために絶対に残されているはずだ。
その情報にアクセスできるのは。
おそらく。
かなり上位のアルファだけだ。
その情報こそが、権力に力になり得るからだ。
アルファを存在させ続けるための切り札。
少年はそこにアクセスできるようになるために、白面のアルファとして、ゲームに参加する。
上位に。
もっと上位に。
少年は脳を焼き付かせるほどに働かせ、ゲームを勝ち抜いていく。
そこだ。
そこに。
答えがあるはずだ。、
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