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第82話

 白面の進撃はアルファの間にも知れ渡っていた。  どちらかというと、広げた領地を守ることに専念していた白面がここに来て領地や権利を奪うことに夢中になっていると。  らしくない。  その戦い方も、堅実な戦略を捨てて、危ういが、予想もつかない戦い方をしてくる。  見たこともないやり方でゲームを進められ、負かしているはずなのに、気が付いたなら、どうやっても勝てない状況に立たされている。  ゲームはアルファ独自が進化させてきたものだ。  ルールもやり方も、その勝負によって変わる。    与えられた数値を奪い合っていくだけのゲームだが、アルファですら、そのゲームの全容はよくわからない。  そのルールの隙間をかいくぐるような戦い方。  そんなやり方があったのかというような戦い方を白面はしてきた。  白面の戦い方は変わり、沢山のアルファが領地や権利を奪われていった。  らしくない。   だが。   アルファはアルファ。  勝ち負けだけが全てだ。  白面が勝っている以上とやかく言うものなどいない。  アルファは。    人類などとはちがって、確かに高潔なのだ。  でも。  白面がねらうものにアルファ達も気付いていた。  白面は。  歴史を  アルファの歴史について調べるためだけに勝負をしている。  何がある?  我々は何なのだ?  我々は?  アルファ達の間にも、何かが生まれてきていた。  自分の存在に対する不安、のようなものが。    人類、ベータとは違う、  それは支配者ゆえだと思っていた。  神と人間がともに暮らしたという神話のように。  いや、それはあったのではないのか?  その神話は?  アルファ達以前にも。  人類に子供を産ませた支配的達がいたのでは。  人類とは異なる姿をした、異世界から来た異形の支配的達が。    神話はあまりにもアルファ達に似ていた。  異形の神々が現れ、支配して、人間達に子供を産ませる話。  アルファのような神々がいたのでは?  では、彼らはとこへ?  その支配者達は。    そして、アルファ達はどこへ?    我々はどこへいく?  白面の快進撃は、アルファの中に、さざ波を生み出していた。 アルファ達は不思議なことに。 自分達がどこから来たのか、それまで気にしたこともなかったのた。                

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