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第92話

 それはオメガだった。  アルファがオメガを見間違えることなどない。 アルファと戦うためにきた神鳥のアルファの前に現れたのはオメガだったのだ。  見るだけでわかる。  だが、そんなことは関係ない。  ここにまだオメガは必要ない。  ここになのは、愛しい敵の白面だけだ。  白面の姿は会ったことはないが知っている。  有名だ。  目も鼻もない白い顔と、最速の四足歩行で駆けるアルファだ。  二本の強靭な腕も持つ。  音や嗅覚、相手の体温さえもその肌の全てで感じとれる、最高の天然レーダーを持つアルファだ。  楽しみにしていた敵だ。    知らないはずがない。  だが。  ここにいるのは。  オメガだった。    しかも好みじゃない、まだ子供な。  最低でも25は過ぎないと神鳥的には嫌なのだ。  楽しめる理由がない限り、他人のモノだとかそういう理由がない限り、手をだしたいとは思えないオメガだった。  消えろ、と言いかけた。  だが。  このオメガは長い棒のようなものをもっていた。  何だ?  それは。  武器のつもりか?  そんなモノで。      銃火器さえ通じないアルファに戦おうというのか?  白面は?  これが白面のオメガか?  いや、白面のオメガならこんな子供じゃないはすだ。  白面のオメガは二人も子供を産んだ、大人のオメガでそれを楽しみにして来たのだから、間違いない。  白面に寵愛され、誰の目にも触れられぬよう閉じ込められているオメガ。  白面の意識が残っている状態で犯してやろうと思ってたオメガは。  こんな子供じゃない。  今回は戦利品として互いのオメガを持ち込んでいる。  神鳥はワクワクしすぎて一人で飛んできたが、神鳥のオメガも護衛につれられ、ここに来ているはずだし、白面のオメガも連れて来られてるはずだ。  今回は互いのオメガを賭けた戦いでもあるのだ。  だが。  このオメガは何だ?  意味がわからなかった。  たが。  次の瞬間、神鳥は理解し、激高したのだ。  

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