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第98話
少年は余裕があった。
だって所詮、神鳥はアルファだ。
少年の身体から一気に匂いが吹き上げる。
甘い。
甘い。
痺れるような匂いだ。
少年は番のいないオメガのフェロモンを全開で放出する。
花に群がる蜂や蝶のように、アルファはこの匂いにあがらえない。
抱かせたらそれでしまい。
狂ったように尻を振るだけの玩具になる。
自分の身体にアルファが溺れたら。
少年はそれだけでアルファを殺せる。
その性器を身体から出す毒で焼き切って、毒を全身に回すのだ。
そうやって殺してきた。
アルファは。
オメガのフェロモンに哀れな位あがらえない。
少年は番のいないオメガのフェロモンを出すことは出来るが、アルファの出すフェロモンにもう左右されることはない。
少年はもう、番のアルファを不本意ながら得ているからだ。
その番のアルファ以外のアルファのフェロモンは効かない。
少年は勝利を確信していた。
それに、殺すまで・・・楽しむのもわるくない。
アルファを犯すのを。
絞りとり、泣き叫んても、射精させつづけてやるのだ。
少年は、アルファを泣かすのが大好きなのだ。
もちろん、いちばん好きなのは。
タクを泣かせることだが、そこはキチンと愛を持ってやっている。
・・・つもりだ。
少年にとっては。
匂いが立ちのぼる。
神鳥の息が荒くなる。
もう神鳥が着ている美しい民族風なズボンは、前がはちきれんばかりに盛り上がっていた。
凶悪な。
アルファの性器。
少年は楽しくなる
少年はコレが大好きなのだ。
アルファの陰茎骨のある性器は確かにいい。
そして、一番いいのは、中で焼き溶かしながら、この陰茎を締め付けることだ。
凄まじい苦痛と泣き声をあげて、それでも達するアルファをその孔で感じるのが
少年は大好きなのだ。
少年は服を脱ぎ捨てながら神鳥に近付く。
神鳥は逆らえないだろう。
神鳥は。
夢中で少年を貪ろうとするだろう。
殺されるとわかっていても。
楽しすぎた。
だが、神鳥に手の届くところまで来て、少年の顔色が変わった。
有り得ない。
有り得なかった。
じゅくん
孔が、疼いた。
汁をしたたらせて。
喘いでいた。
まだ挿れてもないのに。
身体が。
身体が。
有り得ないくらい熱い。
少年は思わず立ち止まった。
これを知ってる。
有り得ない。
有り得ないことだ。
どういうことだ。
欲情に濡れた、鳥の頭部を持つ神鳥の瞳が、七色に光る。
その腕が伸ばされ、押し倒され、巨大な性器をつっこまれるのを腰を揺らしながら少年は待っていた。
これは違う。
違う。
この感じは。
「発情してんじゃねーか。好みじゃねーよ。だけど、また、してやるよ」
神鳥が呻いた。
その言葉に少年は目を見開く。
「また、してやる」
神鳥は言った。
神鳥は覚えている?
少年が何なのか。
絶対に覚えていないと思ったのに。
「忘れてたよ。正直犯したオメガの顔なんてひとりも覚えちゃいない、どうでもいいからな・・・だけど、アイツが用意させたコイツと、お前の態度で思い出した。フェロモンに発情するお前は可愛いぜ」
神鳥は手にした何かを見せつけた。
それは。
小さな噴射器で。
そこから、匂いが溢れていた。
その匂いは強烈だった。
少年の頭の真ん中を溶かして、それだけしか考えさせなくなる、それ。
せっかく逃げれるようになった、オメガのヒート。
唯一抑制剤も効かないそれ。
番のアルファのフェロモンが引き起こす発情。
その匂い。
「お前、【黄金】の番のオメガだろ。何度か抱いたのにな、忘れていて悪かったな」
神鳥が笑った。
ズボンをずらしながら。
その性器の味も少年はもう知っていた。
【黄金のアルファ】は何度か神鳥に少年を犯させたから。
入りきらないそれを咥え、舐めたのことだって覚えている。
少年が黄金のフェロモンに狂って、黄金に抱かれた後に、神鳥に抱かせたから。
黄金はここにいないのに。
その匂いだけはして、それに少年はおかしくなる。
孔が疼いて、液がたれて、腰が無意識に揺れていた。
脚を開いて、孔を広げて求めたかった。
いや、もうそうしていた。
少年は地面に自分から横たわり、脚を開いて、孔を指で広げて、神鳥を誘った。
涎を流しながら。
「黄金が持っていけ、と言ったんだ。その時は何の意味かわからなかったけどな」
神鳥も唸るように言う。
神鳥も正気を無くしかけていたが、今は落ち着き始めていた。
少年から湧き上がる匂いが変わっていた。
番のアルファを求める匂いに。
神鳥は少年の番じゃない。
このフェロモンは神鳥には効かない。
だから神鳥は、噴射器を投げ捨て、持っていた薬を飲んだ。
黄金アルファのフェロモン由来の薬だ。
これを飲めば。
少年が出す番以外のアルファを拒絶する毒を無害化できる、らしい。
白面が来ない場合は、アルファ殺しのオメガがあらわれるかもしれない、とは黄金は言っていた。
「多分、この薬で大丈夫なんじゃないかな」
黄金は無責任だった。
大体、何も黄金は教えてくれなかったのだ。
ただ、白面とたたかう時にこれを使うといい、と言って持たせたのだ。
噴射器も。
薬も。
万が一、白面じゃないモノが現れたら、と。
これを噴射して、これを飲め、本当にそれしか言わなかった。
その悪趣味さに、感心してしまう。
こうなるとわかって、神鳥を白面に向かわせたのだ。
黄金は。
だが。
神鳥はこんな楽しいことを止めるつもりはなかった。
アルファのフェロモンで欲情した、自分を殺しに来たオメガを犯すのだ。
これほど楽しいことはない。
発情しきったオメガは、自分で孔を指を弄り、鳴き初めていた。
「めちゃくちゃに犯して、殺す」
神鳥は涎をながした。
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