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第106話

怪奇で高貴な生きもの達がこの世界に現れた。 彼等は彼等の番を失い、種を残せなくなっていた。 彼等はあたらしく来た世界で哀れな生きもの達を見つけた。 卑劣で卑怯で、残酷で。 弱いものから貪ることがだいすきで、それを恥とも思わぬ生きものだった。 だが。 生命力にあふれていた。 繁殖力だけは恥ずかしげもなくあった。 高貴な生きもの達は、この哀れで惨めな生きもの達に恩恵を与えてやることにした。 滅ぼす代わりに支配して、与えてやることにした。 支配者達を生み出すという名誉を。 人間を選んだ。 美しい者を。 高貴な者たちは自分達の姿を愛していたが、どうせ取り込まねばならないのならば、美しい姿が良かった。 美しい者を選んだ。 哀れな生きものたちはもう抵抗しなかった。 美しい者達を改造した。 男性と呼ばれる姿を選んだのは単なる彼らの好みだった。 彼らの失った番は、男性と言われる姿に近かったからだ。 そして、彼らは久々に得た番を犯し続けた。 残念ながら、改造されただけの人間達の中には彼らの愛に耐えられず絶命した者もいた。 彼らはとても悲しんだ。 彼らの愛に耐えれた者も、彼らの子供を産む時に、命を落とした。 彼らは男性を改造したものでしかなく、子を産むのに適していなかったからだ。 そうしてまでして産ませた子供たちも、彼らの形質を受け継ぐものは僅かで、哀れな生きもの達のままな者がほとんどだった。 だが。 彼らとも、哀れな生き物達とも違う存在も生まれていた。 虚弱で、成長に手間はかかったが、その生きものこそが本物の自分達の番だと、高貴な者達は理解した。 その本当の番達が大きくなるまで、人間を改造して愛し、子供を産ませて殺し続けた。 幼かった番達が自分達を求めて発情するようになるまでそれは続いた。 そして、番を求めて殺し合うことも始まった。 そして、自分達の子どもでありながら、哀れな生きものままだった者の子供たちから、高貴な形質を持つものも、愛しい番が生まれるようになったことを知る。 世界を超えた場所で。 哀れなな生きものを支配することで、高貴な生き物達は放っておけば自ら殺し合い、いずれ滅びただろう哀れな生きもの達を救い、自分達の番を取り戻したのだ。 それが、アルファの昔話。 アルファに伝えられる。 改造。 そこから全てが始まった。 少年はそう考えている

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