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第110話

花は穴を覗き込む。 こんな世界の果てまで来ることになるとは思わなかった。 飛行機で24時間以上移動した。 大陸の1つの奥深い場所で、飛行から降りてさらに1週間を費やした。 森林の最中にとつぜんそれはあった。 深い穴が広がっていた。 スタジアムが1つ位入るような穴だ。 ここがアルファ【出現】ポイント、の候補とされている場所の1つだ。 花はほぼ垂直な地下へと降りていく壁面を覗き込んだ。 この穴からアルファは出現したと。 人間では登ってこれないだろう。 だが。 アルファなら可能か。 翼あるもの。 多数の脚も、蛇の身体も、的確なポイントを見つける目もある。 そして、オメガにも可能なはずだ。 花は少年の命令で、その場所を見てくるようにいわれていた。 タキが心配そうに見ている。 タキは心配すぎてついてきてしまったのだ。 こんな世界の果てまで。 「本当に降りるつもりか?」 タキは暗闇しか見えない穴をみつめた。 穴は巨大で深さもおそらく高層ビル二つ分はある。 出現ポイント、とされている。 アルファが出現し、世界を蹂躙したあいだのことは、記録にほとんど残されてない。 消しさられている。 どんな風に世界を蹂躙したのかも。 でも犯して殺して、支配したのだろう。 人類がしたがうまで。 それは間違いない。 何故アルファたちが記録を消したのか。 ここになにかがあると、少年は考えていて、これもその調査の1つだった。 花にしてみれば、大好きなお兄さんの役立つことだし、花も知りたい。 アルファがどこから来たのか。 そして、オメガとは何なのか。 本当のことを。 ベータでは無理でも、オメガなら。 この穴の下までいけるかもしれない。 オメガの身体能力は高い。 体力はあるし、三日位なら、水も食べ物も要らない。 アルファとのセックスに耐えれる体力だ。 「ドローンとかじゃ、無理なのか?」 タキは花を行かせたくないようだ。 花はクスリと笑う。 タキは本当に。 本当に可愛い。 タキを抱くようになってからは、花はほとんど他のベータとするのを止めてる。 近所の上級生とは、確かにまだしてるけれど。 でも。 それは学校で口止めするためだったり、上級生のペットにされている下級生の立場が必要だからで、タキを可愛く思ってしてるのとは違う。 上級生は可愛いのは可愛いし、したくないかと言えば我儘傲慢な彼女が、タキの下では可愛い下僕になるのは楽しくて仕方ないのは事実なんだけど。 上級生に嫉妬するタキも可愛くて仕方ない。 なんなら、そんなタキを可愛がりたいから、上級生と三人でしてもいいかな、とか思ってしまうくらいだ。 でも、タキが泣くだろうから。 タキを上級生に触らせるのも嫌だからしない。 タキを貫くのも。 タキを孔の中でイカせるのも。 花だけでいい。 ずるいけど。 タキを離してあげられない。 花が離さない限り、タキは花から逃げられない。 「機械でおりてみたんだけど、それでは何も見えなかった。でも、お兄さんは何かある、と思ってる。行かなければ見えないモノがある、と思ってる」 花は降りる準備をする。 命綱も無しで、花はこの穴を降りていくつもりだ。 花の身体能力でも、降りるには1日ちかくかかると思われる。 途中やすむために身体を固定するためのザイルとロープは持って行く。 「何かって何だよ」 タキは反対なのだ。 花を失いたくないから それが可愛くて、花は背伸びして、頭に1つ高いタキにキスをした。 体力を温存しなければならないのでなかったら、この場で押し倒して突き上げて鳴かせたいくらいだ。 花はタキを抱く方が好きなのだ。 お兄さんに言うと孔で【抱く】のが好きなお兄さんに、「孔で喘がせ、鳴かせるようになってこそだろうが」と言われるけど、ベータとするってのは快楽最優先じゃないから、擬似性器での快楽でも十分だと花は思ってる。 タキとするのは精神的な充足のためだ。 タキが可愛いから。 それ以上の意味はいらない。 タキだって、花に挿れるより、今じゃ花に後ろから突かれて泣くのが大好きなのだし。 「ボクじゃないとみつけられないモノがあるかもしれないんだ。行ってくるね。帰ってきたらいっぱい可愛がってあげる」 花はズボン越しに、タキの後ろの穴を撫でた。 タキは喘ぎ、真っ赤になった。 まだ慣れてないのが可愛い。 花は無線のインカムと、電球のついたヘルメットを被り、手袋だけはめた腕だけで、深い穴へと降りていく。 ここから。 アルファ達は出現したのだろうか。 ここはどのアルファの領土でもない、中立地点だった。 何故か、大した理由なく、ずっとそうなっていた。 だからこそ、少年はここが本当の出現地である可能性が高いと思っていた。 花はその細い腕からはわからない腕力と、柔らかい身体をと、バランス能力で、軽々と穴の壁面を降りていく。 数日の訓練で、花はロッククライミングをみにつけたのだ。 話は指輪1本で全体重を支えられる。 タキはあっという間に穴の闇に消える花を見つめ続けていた。 花とタキを連れて来た、【医者】が心配そうなタキの肩をたたいた。 「心配いらないよ、オメガは我々とは違う」 その言葉にタキはさらに不安になる。 オメガが自分達と違うなら。 オメガは何だと言うのだろう。 何故かそこが。 タキには怖かった。

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