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第114話

「とにかく、コツコツ殺していくしかないよな」 とりあえず少年は前向きだった。 「一人一人殺していくしかねーよな、一気に殺せるようになるまでは。仕方ねぇ、やれることを確実にやるしかねぇ」 少年は生真面目に言った。 いいことを言ってる風だけど、実際はアルファ殺害なのでどうなんだろう、とタクは思う。 でも、確かにアルファが殺したければベータをころしてもいいなんていうのはもうおかしいとタクも思うようになっている。 アルファのおかげで人類は絶滅をまぬがれたの かもしれない。 だからといって、アルファが気まぐれにベータを殺すのも、アルファのためにオメガが閉じこめられて、モノとして生きるのもちがうとタクは思った。 それでもいい、と言えるのは、今自分が殺されてないからだけで。 いま自分が閉じこめられ飼われてないからで。 殺害という形はどうかとやはりおもうけれど。 何もしないのは、どうなのか。 ただ、その時に黙って殺されるのはどうなのか。 そうも思い初めていた。 アルファは。 ベータを殺すことになんの躊躇もしないし、オメガを飼うこともなんとも思わない。 地震や火災や自然災害にあったようなモノだと思え、とベータたちは教えられてきた。 世界をきちんと支配してくれているのはアルファなのだから、自分たちではアルファの代わりにならないのだから、少し位の犠牲者は仕方ないだろう、と。 病期や事故で死ぬ数に較べたら微々たるものだと。 タクはそれはちがうんじゃないかと。 やっと思えるようになったのだ。 組織はアルファを滅亡させることが目的だ。 アルファはけっして、いまの特別階級から降りたりはしないから。 それこそがアルファだから。 滅亡させるための方法、 この世界を離れるためのアルファの本能を作動させるのはどうすればとか、 アルファの【センター】の爆破作戦とか そちらの方はこれから調査をすすめて、時間をかけて考えていくことになった。 花もアルファ狩りをすることになった。 アルファをころせるのはオメガだけ。 少なくとも、少年、花、二人のアルファ殺しでやれることをやっていくしかない。 花の場合は少年の身体からでる毒を使うので時間がかかるし、フェロモンでさそうことも出来ないから、肉体を見せつけて誘うしかない。 その上、毒で凶暴になったアルファに酷く犯され、殺される可能性もあるけれど、花は自分から作戦に参加したいと言った。 花にも。 アルファは許せないのだ。 アルファさえいなくなれば。 花の番はもういないけれど。 それでも花は少年に出会ってなければ、自分がどういう風に生きなければならなかったのかを知ってるからこそ、花もアルファを消し去りたかった。 花は綺麗な抱き人形にされていたのだ。 番になるはずだったアルファを殺さなかったなら。 「ボク達は愛玩品じゃない」 花はそう信じていた。 花のアルファ狩りにはタキが真白になって反対したけれど、タキには花を止められない。 少年と花。 二人でアルファ狩りを始めることになった。 そして。 少年はアルファ、【白面】として、アルファとの権力ゲームを勝ち進んでいく。 アルファ狩りを地道にこなしながら。 肉弾戦を仕掛けられた時は、悦んでアルファを狩った。 アルファは。 フェロモンに逆らえないから。 そして、少年の猛毒にも。 ただ【黄金】のアルファも、また凄まじい進撃をはじめた。 ここに来て突然。 白面、黄金が支配ゲームの上位となった。 アルファは階級社会だ。 実力が全てだ。 代理戦争であるこの支配ゲームで。 今、少年こと【白面】と【黄金】は支配権をほぼ2分していた。 1位は【黄金】そして2位が【白面】。 少年は。 決意を決める。 黄金をなんとかしなければならない。

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