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第126話
これは何。
何かと言われたなら、タキにだってすぐにわかる。
アルファの浮気だ。
自分の番をどこかへ出かけさせ、番ではないオメガを引き込んで楽しんでいるのだ。
アルファは自分の番のオメガには甘い。
独占して、執着するが、甘い。
他のオメガを抱いていることを番には知られたくはないくらいには甘い。
アルファは番のオメガと自分の子供には本当に思いやりがあるのだ。
それは例え、ベータのおもう思いやりとは違っていたとしても、だ。
アルファ達は番には知られないようにして、抱き殺してる。
そんな気分になった時には。
タキの父親は他のどんなアルファよりもオメガに執着していたからそれはなかったが、普通のアルファなら、番がいてもたまにベータで楽しんでいるだろう。
今回は希少なオメガだからなおさら楽しんでいるはずだ。
どうやったのか知らない。
でも、花をアルファに提供したのだ。
多分、少年が裏にいる。
花にこんなことをさせられるのはあの少年しかない。
これはいつものアルファ殺しのためのセックスじゃなかった。
アルファを殺すためのセックスなら、単に車で送るような真似はしてない。
こんな侵入の仕方はしてない。
痕跡がのこりすぎる。
これは。
オメガをアルファに差し出しているのだ。
アルファは番とは違うからこそ楽しんでいた。
思いやりなど1ミリもいらないからこそ。
死んでも構わないとベータの腹を突き破りながらするのと同じように、オメガの孔から中を無惨な突きを繰り返す。
相手の快楽なとどうでもいいのだ。
ただただひたすら、楽しんでいた。
玩具として。
孔を使っていた。
たのしい道具として。
小さな花の尻を変形するほど突き上げて、楽しいスイッチであそぶかのようにその乳首弄って楽しみ、血が吹き出すほど柔らかい肩をかんで楽しんでいた。
でも。
花はそんな酷いモノでも感じていた。
酷く扱われているとわかっているのに、オメガの身体は感じて、快楽におぼれる。
そのように作られているからだ。
殺される位なのが良かった。
やさしさなどないからこそ痺れてた。
笑われているのに脳から溶けて、身体は欲しがった。
オメガだった。
これがオメガの身体の仕組みだった。
どうしようもなくオメガだった。
誰にどんな風にされても感じてしまうオメガだった。
ぐひい
ふぐぅ
ひぃいいい
きたない声で喘ぐほど、それでも花は感じていた。
背中を弓なりに逸らせ、痙攣し続け何度も何度もイっていた。
タキは開きっぱなしの部屋の前で膝をついた。
花もアルファも気づく様子もない。
快楽に溺れているから。
深く穿たれ、花は白目をむいて獣のように叫び続ける。
それはアルファも同じで。
獣のように混じり合い、貪りあう。
タキは自分と花がしていたセックスがお遊びのようなものだったと悟る
アルファとオメガのセックスはこんな凄まじいものだったのだ。
そして、タキは泣く。
こんなの。
こんなの。
花は望んでない。
望んでないんだ。
それがわかったから。
感じて全身を快楽に蝕まれ、ゼリーのように脳が蕩けても。
とろけてしまったからこそ、花は傷つき苦しんでいるのだと、タキにはわかったから。
殺すためにアルファとセックスするのはいい。
アルファを自分におぼれさせるのはいい。
それは、花が自分の意志でえらんだセックスだ。
でも。
これは違う。
モノにされるセックスだ。
これが嫌で花が逃げてきたものだ。
アルファを殺してまで。
今、花は貪られるモノだった。
玩具だった。
花が拒否したものだった。
タキは膝をついたまま、泣いた。
泣いて。
泣いて。
そこから静かに立ち去った。
タキには花をすくえなかったから。
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