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第130話

タキは有名人だ。 アルファの子供達は特権階級だが、その中でもさらに特権階級だ。 あの白面の子供だから。 もっともアルファの子供たちはその特権は父親がいる間だけだと良くわかっている。 アルファが死ぬ時は負ける時で、そうなったらすべて相手のアルファに奪われる。 父親あっての特権階級。 所詮ベータなのだ。 だから、アルファの子供たちはそうなっても生きられるように教育や知識を与えられる。 アルファが教育熱心なのはそのためだ。 だが、現時点で優位なアルファの子供であり、父親の名代も務めるタキはこの学校の権力者ですらあった。 高等部の生徒会長でもある。 だから中等部の生徒達はタキを見るだけでざわめいたし、タキから声をかけられて緊張した。 この学校は男子校だ。 アルファとオメガの間に生まれるベータの子供は男子しかいないから。 「新しい転入生はどこかな。彼の保護者に頼まれたんで、様子をみにきたんだ」 タキは生徒にたずねた。 オメガのことだとは誰もがわかったはずだ。 生徒達の声が止まった。 なんだかヒソヒソとしている。 タキは秘密を嗅ぎつけた。 「言わないと、酷いよ?」 タキは笑顔で言った。 本気だった。 タキはオメガの息子でもある。 もしも彼が酷い目にあっていたら。 ゆるすつもりはなかった。 タキの言葉で中等部の生徒達はオロオロと周りをみ回し、誰が犠牲になるのかを視線でさぐりあう。 そして圧力に負けた一人の生徒がタキの前に来た。 「ボク達からそうしろなんて言ってないんです。それはわかってください・・・」 タキは嫌な予感がした。 タキが思い切り良く、その部屋のドアを開けた時、オメガは1人の中等部の生徒の性器を咥え、もう1人の生徒に後ろから貫かれていた。 普通だったら強姦されている、と思うだろう。 なんと言っても 2人がかりだ。 しかも身体の大きな上級生がまだ子供のようなオメガを相手にしてるのだ。 だが、泣いているのは生徒達の方だった。 性行為の経験が少しくらいあったかもしれないが、オメガ相手では貪られるだけだ。 身体を痙攣させ、止めることが出来ない快楽に泣いているのは生徒達の方だ。 動く腰を止められず、笛のような悲鳴を鳴らしていた。 オメガとのセックスは強い麻薬のようなものだ。 慣れてなければ恐怖の方が強いだろう。 でも、止めることなんてできない。 自分からは。 タキに引き離されやっと生徒達は終わることができた。 生徒達はうずくまりないていた。 カウンセラーにつないだほうが良さそうだ。 タキはそう思った。 タキは困惑したようにタキを見上げるオメガに、服を整えるように言った。 オメガが用意していたウエットティッシュも渡す。 使用済みのコンドームが散乱していた。 ウエットティッシュもコンドームも、オメガが用意していたのだろう。 持たせたのは【黄金】か。 タキは頭痛がした。 ここは中等部だぞ。 しかし、昼休みでこれだけ出せたらすごい。 まあ、オメガ相手だ。 そうなる。 タキが一番良く知ってる。 「オレ達じゃない。ソイツが・・・ソイツが・・・」 少年達が泣き叫ぶ。 「ああ、わかってる」 タキはうるさそうに言う。 「何か何か・・・まちがったの?」 幼いオメガが金色の瞳を不安げにまたたかせる。 オメガは慣れた様子で身体を、拭い服を整える。 その際、吸わせたのだろうあざやかに色付いた乳首が見えた。 華奢な身体のわりには立派な擬似性器、たっぷり濡れた生殖孔は甘そうに光っていたのも。 目をあわててそらした。 わざとじゃない。 心の中で花に言い訳する。 オメガは身体を隠す気もないらしい。 でも、オロオロとしている。 「間違った。でも、君のせいじゃない」 タキは出来るだけやさしく言った。 「君たちは保健室へ」 オメガとセックスしていた中学生達にいう。 まだ幼い生徒達は泣きじゃくりながら立ち上がった 彼らにはカウンセラーが必要だろう。 後で手配することを決めた。 両親がベータの生徒だろう。 親がアルファとオメガなら、こんなことにはならない。 親がアルファなら、骨身に染みるほどに教えこまれているからだ。 オメガはアルファのものだと。 出会った時、花がオメガだと知っていたらタキは花を遠ざけたらだろう。 オメガについては良く知っているから、 ベータ達はオメガを知らないから。 興味本位で性的な接触を仕掛けたのだろう。 子供は怖いもの知らずだから。 「ダメだったの?」 困ったようにいうオメガ。 タキはため息をついた。 そして、このオメガは番である黄金に、番以外とのセックスを強いられて続けてきたのだ。 誘われても。 断る理由がなかったのだろう。 むしろ。 同年代の少年達と仲良くなりたいくらいの気持ちで。 むしろ、【喜んだ】のはオメガかもしれない。 初日で良かった。 会いに来てよかった。 少なくも最小限の被害ですんだ。 この学園は白面が運営しているのだ。 「君は悪くない。でも、知る必要はあるな。少なくともこの学校の中では許されないことがあることを」 タキは頭をかかえながら言った。 悪いのは【黄金】だ。 この子の罪じゃない。 日常的に黄金の命じるままに、いろんなアルファやベータに犯されているこの子のせいじゃない。 「オレが教えるよ。SEXは友だちとはしないんだよ」 タキは言った。 このオメガに近づきたくはなかった。 それはあの少年の策略に乗ることだ。 でも。 見捨てられなかった。 アイツら何を考えてるいる? 少年も。 黄金も。 全くわからなかった。

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