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第133話

花は帰りの車の中ですすり泣いていた。 今日も酷く。 された。 身体よりも心がいたい。 身体はオメガだから大丈夫。 アルファを受け止めるために作られたのがオメガだから。 本当に? 何故かふと疑問をもった。 本当に? オメガはアルファのためだけに作られたのか? 少年が前に何気なく呟いたのだ。 その時は聞き流してた。 そうに決まってるから。 お兄さんは何か考えている? 考えている? 花に明かしてくれたことよりも別な何かをかんがえている? 花はそれについて考えようとしてみたが、今はちょっと辛すぎた。 今日も、白牛のアルファにいいようにされた。 オメガらしくあるために、されるがままに、モノのように扱われるセックスに耐えることは花を傷つけた。 でも、明日は違うアルファに犯される。 それが必要なことだと分かってて。 でも辛かった。 またタキに酷くしてしまうかもしれない。 辛さをタキにぶつけて、無意識ににげようとするタキを、おさえつけて犯し続けてししまうかもしれない。 タキは。 何かに気付いてる。 「もう許して」と言わないから。 意識がなくなっても、犯し続けても。 何も言わない。 花が服をぬがないで身体を見せないことにも。 何も言わない。 必死で応えようとしてくれる。 タキ。 タキ。 タキとするセックスと、少年がしてくれたお守りのセックスの感覚だけが花をまもってくれる。 明日は違うアルファに抱かれて。 そして、検査を受ける。 少年の見立てとおりなら。 少年の予想通りなら。 花は結果が出ていることを祈った 全部終わらせたなら。 タキと暮らす。 タキだけを可愛がって、 もう誰にも犯されることなく。 そう自分に言い聞かせていた時だった。 グガキィン 凄まじい音と衝撃。 花は不思議な感覚に襲われる。 花の身体は浮き、浮遊していた。 走っていたはずの車は今、宙に浮いていた。 キラキラと飛ぶのは窓がひしゃげて飛び散るガラスだ。 花はゆっくりになった時間の中で、自分がシートから浮かびあがり、重力ではない力によって座席からリアガラスの方へ と押し出されているのだとわかる。 時間は止まったかのようにゆっくり流れてる。 花は悟る。 ゆっくりに感じてるのは脳がそう処理しているからだ。 走っている車に【何か】があって、花の車は今、宙に浮かんでいるのだ。 【何か】は直ぐにわかった。 真っ白にひび割れたフロントガラスには大きな穴が空き、逆さまになった白牛のアルファがその穴から見えた。 逆さまに見えるのは花の乗ったクルマがフロントガラスを下にして、空へと浮かんでいるからだと悟る。 運転手の潰れてちぎれた頭がちぎれてこちらへ飛んでくるのもゆっくりと見える。 白牛のアルファが走行していた自動車の窓ガラスを思い切り殴りつけたのだ、と花は理解した。

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