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第135話

もう一度、もう一度でいい。 花は自分の身体に願う。 一度出来たのなら、出来るはずだろ、ボクの身体。 セックスのためにだけ生まれたんじゃないって、証明してくれ。 もちろん、セックスは大好きだ。 タキとするよ、これからも。 タキを壊さないように、他としなきゃならなくなるかもしれないけど。 でも。 ボクはセックスだけじゃない。 アルファのためだけにいるんじゃない。 そうだろ? ボクの身体。 花はゆっくり近づいてくる白牛を睨みつけた。 チャンスは一度だ。 一度だけだ。 花は走った。 白牛にむかって。 白牛は驚く。 花が逃げると思っていただろうからだ。 オメガがこちらにむかって来るはずがない。 その思い込みと隙を狙った。 花は跳躍した。 巨体の白牛の顔面に向かって。 白牛が4つの腕を花へと伸ばしてくる。 巨体で凄まじい力なだけではない。 アルファのスピードはオメガより遥かに速い。 普通なら花は簡単に捕まえられ、身体を引きちぎられ終わるはずだった。 なぜ白牛が自分を急に殺しにきたのか。 今日までさっきまで、楽しく番のいるオメガを犯すのを楽しんでいたくせに、突然殺しにきたのか。 それも分からないまま、花は死ぬはずだった。 バラバラに4方向に4つの腕で引き裂かれて。 花の胴体でも残れば白牛はそれを犯して楽しんだかもしれない。 そう、白牛はこの【浮気】が気に入って、もう何度も花を【利用】していた。 正体は明かせないが、他のアルファにオメガを抱かせたいアルファがいる。 その申出を白牛や何人かのアルファは信じたのだ。 黄金という先例がいるからこそ。 白牛も、他の何人かのアルファも、黄金のオメガを抱くのを楽しんだアルファだった。 そういうアルファがいると知ってた。た 黄金ほど大っぴらにしたくないことも理解した。 アルファは。 アルファらしくあることにこだわる。 黄金が平気なのは、黄金がアルファの中のアルファ最上位だからだ。 でなければ。 アルファらしくない性癖を隠したいはずだ。 2位の白面のアルファだって、勝負より何よりも、常に自分のオメガを犯していたい、というのもアルファらしいのか、らしくないのか微妙なのだが、白面はなんといっても2位だ。 上位になれば許される。 アルファは実力こそすべてだからだ。 だがそこまで上位じゃないのならば、知られくはないだろう。 そんならしくない正体を明かせないアルファの、自分のオメガを酷く犯されるのが好きなアルファの趣味に白牛が付き合ったのは。 純粋な浮気心だ。 それもまた、アルファらしい。 こよなく番を愛してる。 愛してる。 だが。 まあ。 このあたりは白牛も、これにのった他のアルファも歯切れがわるいはずだ。 白牛がいくら恐ろしい黄金の【頼み】とはいえ、 (アルファは命令は誰にも命令されない) 引き受けたのは、最終的に番に【浮気】をバラされるのが怖かったからだ。 白牛は番の機嫌をとるためなら、土下座でも何でもする。 アルファが番のために何だってするのは当然だ。 だが、これがバレたら。 番は前と同じように自分を愛してくれないだろう、 それは有り得なかった。 黄金の言うように、【証拠】は決しておくべきだ。どのアルファのオメガなのか分からないが、殺す。 自分の番を守れないアルファが悪いのだ。 オメガに向かって白牛は腕を伸ばしていた。 簡単に捕まえられる。 虫を捕まえるより簡単だ。 花に向かって巨大な腕はのびていった。

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