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第154話
ああっ
いいっ
オメガは泣き叫んでいた。
エレベーターの壁面にすがりつきながら、ズボンをズラされ、背後から孔を犯されていた。
抵抗なんかしない。
だってこんなのいつものことだから。
それに気持ち良かった。
さすがにオメガとはした事がなかった。
オメガとするのは・・・アルファとするのとはまた違って、凄かった。
どうされたらイイのかを知りつくした動きだった。
そのタイミングで欲しい、そういう感じで突かれ、粘られ、与えられる。
そして、欲しくて欲しくてたまらないのに。わざと与えられない。
どう欲しがり悶えるのかまでわかっていてそうされているのかわかる。
「ちょうだい・・・お願い・・・ちょうだい・・」
欲しいところで、とめられ、やめられ、オメガは泣いた。
「お前、何とも思わねぇんだな、本当に」
呆れたように少年が囁いて、ゆっくりゆっくり焦らされるから、自分から腰を揺らして擦り付け。オメガは泣く。
「もっとぉ・・・ちゃんとぉしてぇ・・」
泣いて強請った。
キスとかもして欲しい。
身体中舐めて欲しい、
もっと突いておかしくして欲しい
ただ素直に欲しがり必死で腰を振る。
そのオメガの姿に少年は舌打ちした。
「お前、本当にこれでいいのかよ、クソが」
罵られたのはわかった。
みんなののしる。
「すげぇ、ド淫乱なオメガだぜ」
そうアルファ達は喜んだし、ベータ達は圧倒されてこの身体に狂った。
誰も彼もが
「やらしい」
「ドスケベ」
「ビッチ」
そう言いながら、皆この身体を楽しんだ
それのどこが悪いの?
だって、それが番の望みで、番は喜んでくれてる。
ボクだって気持ちいいんだから、それでいい。
「最悪だぜ」
また舌打ちされ、でも、はげしく突かれて、喜んだ。
これが。
これが。
欲しかった。
「イクっ、イクゥ!!!」
よろこんでイった。
そのまま、まだ硬いモノを今度は咥えさせられても喜んでしゃぶった。
喉奥でもイける身体にしてくれてるから。
喉を塞がれて苦しくて、でも、上顎を擦られて、喉の奥の苦しさに、どうしようもなく感じて、喉を突かれながら、自分で孔を弄って腰を振る。
「自分と同じ顔がこんな馬鹿だとはな、お前。代わりにされてなんとも思わないのか?」
喉の奥に放ちながらいわれた。
代わり?
代わりになんかならないって言われた。
だから、代わりなんかじゃない。
夢中で飲み干し、搾りとるように舐め、吸った。
こうしたら、褒めて貰える。
番が褒めてくれる。
また舌打ちされ、無ちゅで舐めてしゃぶる性器を顎をつかんで口の中から引き抜かれた。
なんで?
気持ち良くないの?
その代わり頬を両手で挟んで覗き込まれる。
金色の目が闇に浮かぶように強い。
その色は自分の彩色された瞳とは似ているけど、似ていなかった。
染めた髪の色の具合はよく似ていたけれど、夜から抜け出してきたような艶はなかった。
良く似た顔だけど、こんな、綺麗で怖い表情をオメガは浮かべることなどできない。
「俺か、それとも、俺の前か知らねぇけどな、お前は代わりだよ。出来が悪すぎて代わりにはならないがな。俺も、その前も、お前みたいにヘラヘラ誰にでも股開くようなことはしてねぇんだ、お前、ホント、クソオメガだな。人形かよ!!」
少年は吐き捨てるように言った。
「君の代わり?君が、ボクの前の番?」
オメガは急に不安になった。
前にだれがいようが、どれだけその番を愛していようが気にしてなかった。
自分を前の番に似せようと構わなかった。
だって、今は自分の番だ。
番は1人だけだ。
番が死なない限り、新しい番はない。
そのはずだ。
「おう、1度番になったら解消できねぇからな。俺はまだアイツの番だよ、お前とおなじでな。俺が逃げたから、アイツはお前を番にしたんだ」
少年は言った。
自分と同じ顔。
変えられた自分と同じ顔で。
その眼の奥には数年前に変えられた、自分ではない顔が映っている。
目の色も髪の色も変えられた、自分ではない顔。
その顔は、この少年のものだった。
なにかが壊れた音がした。
「お前は俺の粗悪品のコピーだよ。代わりにはならなかっただろうがな」
冷たい声で言われて。
崩れた。
一気に。
本当はわかっていたから。
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