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第159話

「何を考えている?」 タキは少年に聞いた。 タキはベッドに花を迎えに来たのだった。 花は少年とまだ繋がっていた。 少年は花の中に放っているところだった。 花は意識をもう失っていた。 あの花が意識を失うまでのセックスだと考えたならタキはぞっとした。 だけど、少年の顔には浮かんでいるのは、セックスに狂っていた人間の浮かべるものではなかった。 優しい、思い遣りに満ちた。 慈愛のような。 花と少年がセックスすることは之までもあった。 ベータでは足りない疼きを沈めるための、相互オナニーみたいなものだと理解していた。 だけど、この数日は違う。 少年は狂ったように花を抱き、抱かれている。 2人は何時間も互いの孔に精液を注ぎ合う。 単なる快楽のためではないことを、タキは知っている。 花は多少浮気心があって、女子校の上級生とするのを楽しんでいるところはある。 でも、他の人としなくても済むようになればしない。 タキのためにそうしてくれる気持ちがあるのをタキは知ってる。 そして、少年は誰とでもするが、それはつまり誰とするのも意味がないからで、少年に意味があるのはタクだけだと、それはこわいくらい知ってる。 タクへの執着は恐ろしいほどだ。 なのに。 数週間少年と花は、狂ったように体を繋ぎあっている。 花の身体から精液を掻き出しているのは。 タキなのだ。 花は教えてくれない。 花は少年に忠実なのだ。 だから聞かなければならない。 少年に。 少年は愛しげに花の頬を撫で、キスを頬に落とした。 ゆっくりと花から引き抜いていく。 タキがベッドの側になってそれを見ていても平然としている。 「花を責めるな。花はお前だけが好きなんだ。俺たちオメガはたしかに快楽が大好きだが、でも、それだけじゃない。ぜんぶ終われば。花はちゃんとお前だけになる」 そう言いながら、さっきまではいっていた花の孔に指を入れる。 まだばっくり空いたままのそこは、 少年の精液を垂れ流していた。 少年は孔を指でかきまわし、精液をまとわりつかせてとりだした。 意識は失っていても花は指がうごく度に身体を震わしていた。 「俺たちのコレは実を結ぶことのないものだ。奇妙じゃないか?俺たちオメガは何なんだろうな?」 少年に問われても答えることなどできない。 少年が身体を離した花を抱えあげる。 タキの部屋できよめて。 タキの舌で全部清めてから。 中も掻き出して、それから、タキので満たす。 花はタキのだ。 タキが花のものであるのと同じ位それはたしかなものだ。 「何を考えている?」 タキはもう一度聞く。 「終わりだ。タキ、全部終わらせる」 少年は答えた。 「どうやって?」 タキだって知ってる。 少年の望みは「アルファをすべて駆逐する」ことなのだ。 それをどうやって行なうつもりなのか。 アルファのフリしてやってきた権力ゲーム、花を使った実験、黄金のアルファのオメガを犯したこと。 それらはどこに繋がる? 【組織】の連中もわかっていない。 花だって、知らないことはあるはずだ。、 全部この少年の中にある。 「タキ、約束する。花はお前だけのモノになる。花はお前を愛してる・・・だから」 待ってやれ、そう少年は言った。 優しい目だった。 少年が花を愛してるのはわかった。 それ以上は答える気もないことを。 だから。 タキは花を抱いて立ち去った。 少年は1人になり泣いた。 「タク・・・タク・・・」 タクの部屋へいけば、なにも言わずに受け入れてくれると知っていた。 いや、文句はいうだろうけど。 でも、15才の子どもとして少年を扱うのはタクだけだ。 どんなに少年に淫らに泣かされても、タクはそのままだ。 だから。 タクのお尻を犯すような真似はしてない。 してしまいたくなっても、だ。 タクは可愛い。 本当に可愛い。 愚かで善良で。 子供の姿をしているだけて、守ろうとしてくる。 だから可愛い。 「タク・・・タク・・・」 タクの前じゃない方か泣けた。 タクは心配するのだ。 だからだから。 この世界がどうなってしまったとしても。 タクだけには自分を責めないで欲しかった。

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