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第17話 え!? ②

「それ俺じゃないです。だって俺は…俺は…」 直継の瞳からぽろぽろと涙が溢れる。 これを言ったら、忠直さんとさよならだ。 きっと忠直さんは、心の中に居続けている人を探し、その人のところへ行ってしまうだろう。 もう会えない… 会えないんだ… これで最後… 止まらない涙を隠すように直継が下を向くと… !!!! 力強く体を引き寄せられたかと思うと、暖かい何かに包み込まれ、驚いた直継が見上げると、そこには切なそうな忠直の顔があり、直継は忠直に抱きしめられていた。 「間違うはずない。間違うはずないんだ!背丈はすっかり変わってしまったけど、その澄んだ瞳も|口角下《ここ》のホクロも変わらない」 ぎゅっと直継を抱きしめる力が強くなる。 「でも…、だって…俺、忠直さんと初めて会ったの…、|ファミーユ《ここ》で、俺12歳ですよ…」 直継は言ってしまった。 これで忠直さんも人間違いしてるって気がつく。 さよなら忠直さん… 直継は忠直の胸から抜け出そうとすると、忠直はさらに直継を抱きしめる。 「覚えて…、覚えててくれたんだ…。俺だって…わかってくれてたんだ…」 聞こえてきた忠直の声は涙で震えている。 え? 『覚えててくれてたんだ』って… それって、俺と忠直さんが初めて会った時のこと、覚えててくれてたってこと?

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