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第8話

次の日、学校につくとすでに拓斗は自分の席に座っていた。 席も離れているので、自ら出向かない限り顔もあわせることもない。昨日の行為の後で恥ずかしさや気まずさがあり、いつも通り自分の席に座った。 しかし、 「おはよう」 と声がして見ると拓斗が隣に立っていた。 「お、おはよう」 声が上ずってしまう。返事を返しながら、拓斗の唇に目が行く。 昨日この口で……と考えると足の間で落ち着いているものがうずいた。 「これ」 と渡してきたのはSDカードだった。 「なにこれ?」 「復習用だって、久遠さんから。昨日あまり話聞けてなかっただろ?」 「復習?」 思い返しても、教えて貰った勉強の内容よりも他のもんもんとしてくる方しか思い出せない。 「あ、ありがとう。後で見るよ」 「それじゃ早速だけど、テスト見せて」 と拓斗は手を差し出した。 「え、あぁ」 早速教えてくれるのかとカバンから答案用紙を取り出した。 拓斗はそれを見ると、眉を寄せた。そりゃそうなるよな。どんだけ悪いかは自覚してる。 「もともと数学は得意な方?」 「全っ然!」 「じゃあ文系ってことだね」 「なにか違うの?」 「教え方が変わってくるんだよ。文系に数学を教えるのは難しいんだ」 「バカにしてる?」 「してないよ、僕は文系が苦手だから、その辺は久遠さんに聞くこともある。次の休み時間に対策を持ってくるよ。休み時間ごとに教えるから」 と拓斗は答案用紙を持ったまま自分の机に戻っていった。 待って、俺の休み時間なくなるの? そう思ったが声には出さず、がっくりと肩を落とした。 その日はみっちり拓斗にしごかれた。勉強で 「なんで休み時間にやるの!?もう疲れたよ!」 「なら帰ってからやりたいの?」 黙って考えるが 「それはそれで嫌だ」 「じゃあ終わらせちゃおう」 拓斗のにこりと笑った笑顔と、唇の色気に見とれ言い返せなかった。 なぜこの唇にこんなに色気を感じてしまうのかわからない。 けど、唇を見ていると昨日の、自分の股間を加えこんでいるのを思い出してしまう。 こんなんじゃ教えて貰っても勉強にならない。 そんなこんなで休み時間ごとに勉強ともんもんとする時間が過ぎ、放課後を迎える。 「今日はありがとう。帰ったらもらったデータも含めて軽く復習するよ」 分かりやすく教えて貰い、だいぶ理解は進んだけど余計な事も考えてしまい頭がつかれていた。 「え、帰るの?」 「まさか放課後までやるの!?帰ってからやらないみたいに言ってたのは学校でやるってこと!?」 「違うよ。今日も行くだろ?久遠さんのところ」 「は?」 そして、そのままのこのこついてきちゃう俺は、やはりもんもんとしている。 そりゃあんだけ気持ちよくさせられたら虜にもなる。 一体何をするのかはわからないが、昨日の別れ際の言葉も思い出すと確実にあれやこれや……。盛んな高校生に止められるわけもない。

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