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第9話
でも……
「また久遠さんとするのか?」
「しないよ、昨日帰ってから久遠さんと電話で話したから」
エレベーターに乗るとドアが閉まった。
「八尋と一緒にいられるなら、僕は八尋一筋にしたいから。八尋がどう思ってるかはわからないけど」
それだけ言うと拓斗は黙った。
「そっか。俺は、その、拓斗への気持ちはわからないけど。久遠さんとしてるのはどうかと思ったし。やり方もあんなプレイだと、拓斗が心配だし」
あんなSM見せられたら、プレイだったとしても心配にはなる。
「八尋はやっぱり優しいね」
「優しいとかじゃないけど。まあうん、よかった」
なんだか恥ずかしいことを言ってしまった気がして、体が熱くなるが拓斗を見ると、耳を赤くしてエレベーターのボタンを見て立っている。これは照れてる?
「拓斗って、セックス好きなの?」
「なっ、なんでそんな事急に聞くんだよ!?」
振り返った拓斗の顔も赤かった。
「拓斗って、そうやって照れるの可愛いよな」
「照れてないからな!怒ってるんだ!」
「はいはいそれでいいよ」
ととがめるとエレベーターが止まりドアが開いた。
拓斗はそそくさと降りていく。
「本当かわいいな」
後ろからついていく。
インターホンを押すと昨日と同じく久遠が出てきた。
「あ、本当に来たのか」
と久遠は八尋をみていった。
「悪いですか?」
聞くと拓斗は不敵な笑みを浮かべた。
「君もドSだね。その辺の相性もいいのかもな」
と部屋に入っていく。
「い、いいから部屋に入って」
と拓斗は八尋の背中を押した。そして玄関のドアを閉める。
背中に触れられた手と、この空間にぞくりとするものを感じた。何かおかしい。
「拓斗」
名前を呼んで拓斗の立つ顔の横に手をついた。
いわゆる壁ドン。
拓斗は驚いた様に目を見開いた。
「えっと……」
八尋はこの後どうしようか考えていなかった。背中がぞくりとして反射的にしてしまった。
「そこでそうなっちゃうのは間抜けだな」
それを見ていた久遠はあきれながら言った。
「そうしたらまずキス」
「え!?」
「ほら、拓斗が待ってるよ。して」
久遠が指さすのを見て拓斗を見ると顔を赤くしていた。
据え膳食わぬは男の恥。その言葉が頭をよぎり、拓斗の顔に顔を寄せた。体が熱くて止められない。
唇が触れ、拓斗は軽く吸い付いてきた。
「次は拓斗の背中に手をまわして、壁ドンしてる手は拓斗の頭にまわして強引に」
久遠の声が聞こえ、体がその通りに動く。
「二人とも口を軽く開けて、舌を絡ませる」
拓斗は口を開け、八尋も拓斗の口の中に舌を入れ絡ませた。
「拓斗は舌を出して、八尋はそれに吸い付いて離す。それを繰り返して昨日フェラされてた時を思い出して」
久遠の指示は止まらなかった。気持ちもどんどん高まって八尋も拓斗もやめられなかった。
「次は腰をお互い寄せて、相手が勃ってるか確認。勃ってても、そうじゃなくても腰をこすり合わせて。八尋は背中に回した手をお尻に」
腰を合わせると拓斗の物は固くなっていた。八尋のも半立ちで拓斗の物をつついた。
拓斗のお尻を撫でると、力が入りピクリと動く。
だめだ、こんなのもう止められない。
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