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プロローグ : 9 *
冬総の腰に回された秋在の脚に、力がこもった。
「あっ、あぁ、あっ!」
何度も何度も、急所を上下に扱かれる。
それだけでも秋在にとっては精一杯なのに、冬総の空いている片手が悪戯をするのだから、秋在の体に力がこもってしまうのも無理はない。
「指、フユフサの、ゆびぃ……抜いて、ぬいて、ぇ……っ!」
「ホントに抜いてほしいのか? 嬉しそうに三本も咥え込んでるのに?」
「うぅ、う……や、ぁあ、っ!」
後孔に差し込んだ三本の指を、冬総は根元まで咥え込ませる。
連日繰り返すセックスで、秋在の体は完全に冬総を憶えていた。それは逸物だけではなく、準備のために冬総の使われる指すらも、だ。
「ふ、あ、ぁあっ!」
当然、秋在が体で憶えてしまうほど挿入された指も、秋在の体を憶えている。
指の腹で、しこりのような部分をわざとらしく擦った。そうすると、秋在がすぐグズグズになるのを、分かっていながら。
「そこ、そこ、いや……っ! だめ、だめだめ、やだ、ぁあっ!」
「俺の指をギュウギュウ締めつけてきてるの、分かるか、秋在?」
「わ、わかってるぅ……っ! 冬総の、指……太くて、長くて、イイところあたってるのも……わ、わかってるよっ、ぁあっ!」
「秋在はいい子だな。ご褒美に、もっといっぱい前、触ってやるな」
後ろにばかり集中していた秋在が、突然ハッとしたように息を呑む。
「っ! だ、だめっ! 今、いま前も激しくされたら──」
前にも強い快感を与えたら、秋在がどうなるのか。冬総は当然、分かっている。
──だからこその【ご褒美】なのだから。
「秋在、イッていいぞ」
後孔を弄ぶ指が、秋在の絶頂を促すかのように抜き差しされる。
それと同時に、だらしなく蜜を零していた秋在の逸物を自身の逸物もろとも強く扱きあげた。
「や、んっ。だめ、やっ、フユフサ……!」
小さな体が、ガクガクと震えている。
大きな声が、ガタガタと冬総の理性を震わせた。
「ぅあ、あぁっ! フユフサっ、ぁあっ!」
一際大きな声を上げると同時に、秋在は体を硬直させる。後孔に差し込んだ指が、一層強く締めつけられた。
それと同時に。
「んんっ、あっ、ひぁあっ!」
逸物から迸った熱が、冬総と秋在の下半身を白く汚す。
昨日も散々吐き出したはずの劣情は、衰えることなく溢れる。
「はぁ、ぁ……っ」
びゅくびゅく、と。二度、三度……吐き出された、秋在の情欲。
秋在は肩で息をしつつ、火照った体で冬総にもたれかかる。
「気持ち良さそうな秋在、メチャメチャ可愛いぞ。大好きだ」
「フユフサの、ばかぁ……っ」
「馬鹿ってなんだよ、馬鹿って」
秋在はもたれかかったまま、ポツリと暴言を呟いた。【暴言】と記述するのも憚られるほど、か細い声で。
挿入したままの指をゆっくりと引き抜いて、冬総は文句で返した。
すると……。
「──ボクは……フユフサと一緒に、イきたかったんだよ……っ?」
とんっ。小さな力で、冬総は両肩を押される。
決して、思わず倒れ込んでしまうような強さではなかったけれど。
「悪い子は、宇宙人に代わって……ボクが、食べちゃうね?」
惚れた相手の傲慢さなら、受け入れてしまう。
「秋在に食べられるんなら、本望だな」
夏形冬総とは、そういう男なのだ。
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