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プロローグ : 10 *

 サイズの合っていない、大きめのセーター。  その下に着ている、白いワイシャツ。  秋在は両方のボタンをせっせと外しながら、冬総の上で馬乗りになっていた。 「ボクの服、全部脱ぐ?」 「いや、俺はそのままがいい」 「変なの」  生粋の変人である秋在に『変』と言われたら、大抵の人は不服だろう。  けれど、冬総は違った。 「なんだよ、それ。メチャクチャ嬉しい」  秋在の細い腰に手を添えて、微笑む。  変人の秋在に『変』と言われるのは、なによりも上級の褒め言葉。なぜならその瞬間は、誰よりも秋在に近い存在となれるのだから。 「第一ボタンは、開ける?」 「そのままがいい。リボンも、外さないで」 「……フユフサは、エッチなヘンタイさんなの?」 「その自覚はないけど、俺のことなら秋在が決めていいよ」  ワイシャツで唯一留められたままの、第一ボタン。そこに巻かれた、高校指定の赤いリボン。  それは、外させない。今日の冬総にとって、こだわりのワンポイントだった。  腰に添えていた両手を、冬総は秋在の小さな胸に這わせる。 「秋在、エロくて超可愛い」 「フユフサ、とってもだらしない顔してる」 「しょうがないだろ? 今日は秋在を可愛がりたい気分なんだから」 「それ、いつも言って──ん、あっ」  薄い胸にある、小さな突起。冬総はそこに指を這わせ、不意にきゅっ、とつまんだ。  両の突起を突然つままれた秋在は、ピクリと体を震わせる。 「はぅ、あ、ん……っ」 「秋在……乳首、気持ちいいか?」 「んっ、ぅん……っ。気持ち、よくて……お尻、きゅんって……する、かも」  そう答えてから、秋在は落ち着きなさげに冬総の上で身じろいだ。  胸の突起を指先で弄びながら、冬総は下半身を秋在の体に押しつけた。  先ほどの前戯から、二人は下半身を肌と肌で密着させている。つまり、秋在の臀部には冬総の逸物が擦りつけられているのだ。 「あ……っ」 「本当に秋在の尻がそうなってるのか、今すぐ確かめたい。……いいか?」 「んぅ、ん……っ」  逸物を擦りつけると、秋在は吐息を漏らす。それは『イエス』ということ。秋在が普段語る突拍子もない話に比べたら、分かりやすすぎるくらいだ。  それでも、冬総は秋在からの言葉を待った。 「──ぃ、挿れて、フユフサ……っ」  おそらく、秋在も『言葉を待たれている』と分かっている。  どの角度なら後孔に逸物を挿れやすいか熟知している秋在は、自ら体を動かす。尻の穴に逸物の先端が触れただけで、体を震わせるくせに。 「んん……っ、あっ、フユフサぁ……っ」  物欲しそうな声を、無意識に出しながら。それでも秋在は、決して【最後だけは】自分からしない。 「お願い、フユフサ……っ、フユフサが、挿れて……っ?」  煽り。  求め。  残すは、繋がるだけというところで。秋在はいつも、最後の一線だけは冬総に越えさせる。  そこにどういう真意があるのかを、冬総は知らない。  自分だけが求めているのは、嫌なのか。  だから冬総にも、求めさせたいのかも。 「秋在、愛してる。俺は、お前が欲しい」  そんな、憶測の域を越えない言葉を連ねて。  冬総は秋在の後孔に、逸物をゆっくりと飲み込ませていった。

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