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プロローグ : 11 *
ゆっくりと、男に──恋人に、犯されていく。
その感覚を、秋在は『不快』とは思わない。
「ぁあ、あ……っ!」
本来は、性交に使われない器官。
そもそも、男同士は性交しない。する必要がないのだ。
それを【常識】だと語ったところで、秋在は当然、聞きはしないが。
「フユフサ、フユっ、フサぁ……っ」
岩の上に寝そべる冬総に座ったまま、秋在が背を仰け反らせる。
冬総に比べて華奢な秋在の手が、冬総の服を握った。
「きもち、いぃ……っ! フユフサの、奥まで、届いてるぅ……っ」
「あんま、煽んなよ……ッ」
「うあ、あっ! 今、ボクのナカで……びくって、したぁ……っ」
根元まで挿入した逸物が、どんな反応を示すか。受け止めている側の秋在は、手に取るように分かる。
「動いて、フユフサぁ……っ」
秋在の黒い髪が、潮風に揺れた。
フワフワなその髪は、秋在の可憐さを更に引き立たせる。
「分かった。じゃあ、ちょっと激しくするからな」
「んっ! ぃあっ、あぁっ!」
強請られるままに、冬総が秋在を突く。犯される悦びを知った秋在は、すぐに甘い声を漏らした。
「んっ、んぁ、あっ! 奥、もっと、突いてぇ……っ!」
冬総の制服を強く握り締めて、秋在は下から与えられる快感を更に求める。
リボンが上下に揺れる様を見て、冬総は目を細めた。
「秋在、超エロい……ッ! それに、可愛すぎだぞ……ッ!」
「んぅ、んんっ! お、くぅ……ぐりぐり、しちゃ──あっ、んあっ!」
普段は『変人だ』と。『関わりたくなくて、危ない人だ』なんて。
そう言われている秋在が、自分だけに見せる【常人らしい】表情。
「好き、大好き……っ! フユフサ、好きだよ……っ!」
誰もが当たり前のように遣う言葉が、秋在の口から告げられる。
その言葉の意味が、自分が放つ言葉と本当に同じなのか。正直な所、冬総には分からない。
だが、分からなくても構わなかった。
「俺も、秋在が好きだ……ッ」
「あっ、ひあっ! フユフサの、大きくなった……っ。ボクのナカ、に……出し、たいの……っ?」
「もちろん。……それとも、外がいいワケ?」
わざと、引き抜こうとしてみる。そうすると……。
「だ、だめっ、だよ……っ!」
秋在が慌てて、下半身で追いかける。
「ナカ、が……いい、っ! 外は、絶対だめぇ……っ」
自分のことを伝える努力はしないくせに、冬総のことは全部手に入れたいだなんて。
「ホント、秋在って……ズルい奴、ッ」
引き抜きかけていた逸物で、強引に奥まで穿つ。
その瞬間、秋在が息を呑んだ。
「──ぁあア、っ!」
華奢な秋在の体が、ブルリと大きく震える。
それと同時に、冬総の制服が白い飛沫によってパタパタと汚れていく。
冬総は冬総でまるで返礼かのように、秋在の内側を白く熱く、汚していった。
「あ、ぁ……っ」
前触れもなく絶頂に導かれた秋在は、放心している。口の端から涎を垂らし、ただ呼吸を繰り返すだけだ。
一方、冬総はと言うと……。
「秋在、エロすぎ。……もう一回、シたいんだけど」
たった一回の行為だけで秋在を離してあげる気なんて、全くさらさらないようだ。
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