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ふと、冬総は視線を移す。
薄い胸板から、秋在の下半身へと。
「ぁあ、ん……っ! 痛いの、いや……ん、っ」
うわ言のように囁く秋在の声は、一旦無視。
冬総は晒された秋在の下半身を眺めて、心の中で胸を撫でおろす。
(ひとまず、感じてるのは間違いないな……)
視線の先で。
秋在の逸物は、確かに質量を増していたのだ。
先端が、薄く光っている。
感じているという、なによりの証拠だ。
「春晴、気持ちいいか?」
「ザワザワして……よく、わかんない……っ」
「こっち、一回扱くか?」
「ふあ、っ!」
勃起した逸物へ、手を伸ばす。
予想外の感覚に、秋在は素直な反応を示した。
声を上げると同時に、冬総の手が添えられた逸物は、震える。
「そっちは、今は……いい、から……っ」
「だけど、出した方が気持ちいいだろ?」
「今日は、そういうのじゃ……なく、て……っ」
秋在の手が、冬総の手を握った。
そしてそのまま、ある一点へと誘導する。
「こっちを、大人にして……っ?」
女とは少し違う……けれど、柔らかな臀部。
その割れ目に、秋在は冬総の手を誘導した。
熱を孕んだ瞳で冬総を見つめた秋在は、次の展開を待っている。
「ローション……これ、使っていいから……っ」
いつの間に、どうやって準備したのか。
秋在は枕の下から、小さなローションボトルを取り出す。
そしてそれを、冬総に手渡した。
「……本当に、後悔しないか? 今ならまだ、じゃれ合ってたってやめられるぞ?」
――そんなの、笑えない冗談だ。
体を冬総と密着させている秋在は、分かっている。
「ボクのこと、後悔させるつもりなの……? そんなこと、キミはしないでしょ? ……それに、ナツナリくんこそ。……やめたら、辛いんじゃない」
秋在の膝が、冬総の急所をわざとらしく擦った。
(そりゃ……こんなエロい声聞いたら、そういう気分になるだろ……ッ)
冬総は決して、男が好きというわけではない。
その証拠に、今まで付き合ってきたのは女だけだ。
――しかし……秋在の声に反応したのも、事実。
今更『やめて』と言われたら、秋在の指摘通り……辛いのだ。
「優しいね、キミは」
「……やめろよ。そんなんじゃねェって」
ボトルから、ローションを垂らす。
それを手に馴染ませ、秋在がビックリしてしまわないよう、人肌に温める。
「……指、挿れるぞ」
くちゅっと、指の擦り合わせられた音が響いた。
その音を聞いても、秋在は怯んでいない。
「うん、いいよ……っ」
脚を開き、冬総の手が動かしやすいようにと配慮をする。
男の象徴は、萎えていない。
……互いに、だ。
(ちゃんと、男だって分かってるんだけどな……ッ)
指を一本、ゆっくりと挿入する。
想像以上の締めつけと……温かさが、冬総の指を包んだ。
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