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 どんな恋愛ソングも、歌詞を失くすような。  そんな……予想外すぎる、告白だった。 (俺、なに……言って、ッ?)  相手は、わけの分からない目的のために性交を求めてきた。  しかもクラス――もしくは、学校一の変人。  極めつけに、男同士。  そんな……常識や理性が動く前に、冬総は言ってしまったのだ。  秋在の開いた口が塞がらないのも、納得だろう。 「なんか、気になって……俺は、春晴の、ことが……ッ」  言い訳のように、言葉が出てくる。  誰も理解できていない、急展開すぎる告白。  ――しかし、秋在はそれを。 「――じゃあ、ボクも」  ――両手を広げて、受け入れた。  顔を覆っていた腕が、冬総に伸ばされる。  まるで甘えるように伸ばされた腕が、冬総の首に回された。 「……え、ッ? 春晴、お前……いい、のか……ッ? それって、付き合うってことだぞ……ッ?」  潤んでいた瞳が、少しだけ……細められる。 「じゃあ、恋人同士のエッチだね。……キミにとっても、意味ができたよ……っ?」  微笑んだ秋在を見て。  ――冬総の体に、ゾクッと。  ――甘い電流のようななにかが、走る。 「……ッ! 春晴ッ!」 「え――んっ、あぁ、っ!」  刹那。  冬総が強引に腰を引き、そのまま間髪入れずに落とす。  ぱんっ、と……冬総と秋在が、ぶつかる音。 「まっ、待って……っ! いきなり、そんな――ぁあ、っ! ボ、ボク、初めて――」 「そんなこと言われて、止まれるワケないだろ……ッ!」 「やぁあ、あっ! 奥ばっかり、だめぇっ! ひあ、ぁあっ!」  【傷つけないように】や【優しく】といった、綺麗事が。  冬総の頭から、滑り落ちていく。 「そこっ、そこはだめぇっ! さっき、指でもだめだったから、あっ! んぅう、っ! とっ、止まって、止まってぇっ!」 「春晴、春晴……ッ! 悪い、俺……ッ!」 「はっ、あっ、あぁっ! もっ、むりぃ……っ! ボクもっ、イきそう、っ! ナツナリくん、ナツナリくん……っ!」  秋在の体に、力がこもる。  ――それは二人にとって、限界の合図だった。 「春晴、出る……ッ!」 「ナツナリくんっ、イくっ、イっちゃ――んぁっ、ぁああっ!」  お互いがお互いを、強く抱き締め合い。  冬総と秋在は、ほぼ同時に。  ……絶頂を迎えた。  体を震わせ、お互いが脱力するそのとき。  冬総がゆっくりと、腰を引く。 (うわ……ッ。コンドームの中、引くほど出てンだけど……ッ)  自分の興奮度合いを見せつけられたようで、いたたまれない。  その視線に気付いたのか、好奇心からか。  ぼんやりと脱力した秋在が、冬総を見上げる。 「はぁ、あ……っ。……ねぇ、ナツナリくん……っ」 「ン……? どうした、春晴……?」 「どのくらい、出たのか……見せて」 「マジかよ……ッ」  そんなことを強請ってくる相手、今までいなかった。  だが、相手は秋在だ。  冬総は手早くコンドームを外し、望まれた通り……秋在が見たいと言ったものを、見せた。

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