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秋在と関係を持ち。
そして交際するようになってから、翌週の朝。
(春晴、今日は休みか……?)
朝礼が終わっても、秋在は学校に来ていなかった。
付き合う前から、秋在は学校を休んだり遅刻をしてくるような生徒だったのを、冬総は憶えている。
しかし、付き合ってから初めての登校日。
恋人の顔を見たいと思ったりしないのかと、冬総は少しだけ不満だった。
(俺は、割とソワソワしてたんだけどな……)
今まで……他の誰と付き合っても、こんな気持ちにはなったことがない。
――きっと……冬総にとって、秋在は特別。
だから、同じ気持ちじゃないことが寂しかったりもした。
冬総はスマホを取り出し、メッセージアプリを起動する。
連絡する相手は勿論、秋在だ。
『今日は休みか?』
先週の金曜日。
帰る前に、冬総は秋在と連絡先を交換した。
それがまさかこんな風に役立つだなんて、嬉しいような悲しいような……冬総にとっては、複雑な気分だ。
気まぐれな秋在のことだから、返事は遅いだろう。
そう高をくくっていたのに、意外にも。
……すぐに、メッセージが返ってきた。
『やすむやすまないって』
『いうひつよーあるの』
――そんな、素っ気ない返事が。
(……言う、必要……って?)
秋在からの返信が、冬総は理解できない。
その気持ちを、ダイレクトにメッセージへ打ち込んだ。
『俺たち、一応付き合ってるんだよな?』
『いちおー』
『なら、俺はお前の彼氏だよな? 知る権利、あると思うんだけど?』
『ない』
秋在からの返事は、早いけれど冷たい。
(何だよ、それ……ッ!)
教室の床に、絵の具を撒き散らした……翌日と、同じ。
冬総は秋在に、近付けた気がした。
共同作業をしても、セックスをしても、恋人になっても。
(――春晴がなに考えてンのか、全然……わかんねぇよ……ッ!)
究極に近しい関係性になったところで、秋在は変わらないのだ。
なにを考えているのか、分からない。
冬総にとって秋在は、どこまでも……遠い存在のままなのだ。
「ねぇ、夏形く~んっ!」
「この子の髪見てよ! 内側だけ茶色に染めてるの!」
秋在に対して怒りを募らせていると。
冬総へ好意を寄せている女のクラスメイトが、冬総を呼んだ。
(やり取りするだけ、無駄か)
秋在からの素っ気無いメッセージに、返事をせず。
「は? 髪の毛染めるとかヤバイだろ? まぁ、見るけどさ」
冬総はポケットに、スマホをしまう。
そしてそのまま【秋在への返信】という義務に似た思いを、頭の片隅に押し込む。
――秋在が学校に来て、二人きりになれたら。
――そのときに、お互いの価値観を話せばいい。
そう思いながら、冬総は自分を呼ぶ女子に近付いた。
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