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床には依然として、凶器が転がっていた。
そんな室内には似つかわしくない声が、部屋の主から漏れ出る。
「あ、んん……っ! おな、か……くる、しぃ……っ」
性交に慣れていない秋在が、苦し気な声を漏らす。
冬総は焦らず、秋在の頬をゆっくりと撫でた。
「痛いか……?」
「いた、くは……ない、っ」
「ごめんな、苦しいよな。……本当に、ごめん。……好きだよ、春晴。ごめん、ごめんな……ッ」
「謝るの、ダメ……っ。イヤじゃ、ない、からぁ……っ」
鉈を放り投げて、キスをして。
なにも解決していないのに、秋在は冬総を受け入れた。
それが嬉しくて……やはり、自分勝手だと分かっていて。
それなのに、そんな冬総なのに。
「ナツナリ、くん……好き、だよ……っ? だから、動いて……っ」
――冬総からの『好き』に、秋在は応じる。
――秋在は、冬総のことを『好き』と言ってくれた。
体を揺さ振ると、秋在が小さく反応する。
「ん、っ! はぁ、あ……っ! 奥、もっと……シてぇ、っ?」
根元まで挿入すると、秋在は切なそうな声を漏らす。
たった二回目の性交なのに、秋在はちゃんと……冬総を覚えていたのだ。
「春晴……好きだ、ッ」
「うん、知ってる……んっ、あぅ……っ!」
小さな体が、一生懸命になって快楽を貪る。
そんな様子が、堪らなく愛おしい。
秋在が悦ぶ場所を突くと、素直な反応が返ってくる。
「んぁっ、あっ! ふ、あぁ……っ!」
それが嬉しくて、冬総は何度も同じところを突いた。
「ぅ、んぅ、っ! 同じ、とこ、ばっかぁ……ぁあ、あっ!」
熱を持った秋在の逸物が、突かれる度に震える。
先端は、快楽によって溢れた蜜により、濡れていた。
「イく、イぅ……っ! も、出ちゃうぅ……あっ、ふあっ!」
コンドーム越しに、秋在の収縮が伝わる。
キツく締めつけられれば、冬総の限界だって……早まった。
「春晴……ッ! 俺も、出る……ッ」
「ひあ、ぁあ……っ! ボク、もう――やぁあ、っ!」
抱き締め合って、互いの熱を伝え合う。
冬総は、腹部にかかる秋在の熱を。
秋在は、コンドーム越しに伝わる冬総の熱を、感じていた。
「ぅあ……あ、は……っ」
浅い呼吸を繰り返す秋在が、ぐったりと脱力する。
秋在の負担を少しでも減らそうと、冬総は惜しみつつ、腰を引く。
すると、汗ばんだ秋在の手が冬総の腕を掴んだ。
「まだ、抜かないで……っ」
すぐさま、冬総は動きを止める。
「春晴……ッ。すげェ、可愛いよ……好きだ、ッ」
「うん。……知ってる、知ってるよ……っ」
覆いかぶさるように抱きつき、冬総は何度も何度も好意を伝えた。
浴びせられる想いを受け止めながら、秋在も気持ちを伝える。
「だから、ボクも……キミが、好き……っ」
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