40 / 182

3 : 2 *

 冬総は決して、規則正しく、模範的な生徒ではない。  しかし、不真面目な生徒のつもりでもなかった。 「ん、ふ……っ。んっ、は、っ」  ――ましてや……授業をサボって、トイレの個室でセックスをするなんて。  ――そんな生徒ではない、つもりだったのだ。 「指、もっ、いい……からぁ、っ」  三本の指を、後孔で根元まで咥え込んだ秋在が、ふるふると首を横に振る。  尻を突き出し、冬総が着ていたカーディガンを羽織った秋在の脚は……ガクガクと、震えていた。  ――当然、寒さからではない。 「お腹の、奥……あっためて、っ」  指を引き抜くと、秋在の肩が小さく震えた。  ――このまま、獣のように後ろから突き上げてしまいたい。  獰猛な欲求を、冬総はすんでのところで我慢する。 「春晴、その体勢……辛いだろ」  狭い個室の中を、冬総は器用に移動した。  そして、洋式トイレの上に腰を下ろす。 「ホラ。……俺に跨って」  両腕を広げ、抱き締める姿勢を見せる。  秋在はサイズの合っていないカーディガンの裾で、自分の口元を隠した。  これはおそらく……焦らしているのか、恥じらっているのか。その、どちらかだろう。  クスリと、冬総は笑みをこぼす。 「ギュッてしたら、あったかいぞ?」  押しの一手と言わんばかりに、冬総はズボンのチャックを下げる。  冬総の膨らんだ股間を見て、秋在はその大きな瞳を揺らした。 「……ん、っ」  ソロソロと、秋在は冬総に近付く。  そんな秋在の腕を掴み、冬総は半ば強引に引き寄せた。 「恥ずかしがり屋な春晴も、メッチャそそる」 「ひ、ぁ……ん、っ」  自分の膝に座った秋在の耳元で、冬総が囁く。  十分に慣らした後孔へ指を這わせると、そこは切なげにひくついていた。 「挿れたい。……春晴、いいか……ッ?」  下着をずらし、硬く反り勃つ逸物を取り出す。  冬総は事前に秋在から受け取っていたコンドームを、自分の逸物へ装着した。  ……どうして、秋在がそんなものを持ち歩いているのかは、ひとまず保留して。  秋在の秘所へ、冬総は逸物を当てる。  秋在は恐る恐る、冬総の首に腕を回した。 「……ん。熱いので、いっぱい……あっためて、っ?」  先端を押しつけて、ゆっくりと腰を上げる。  首に回された腕に力がこもり、秋在が冬総の耳元で喘ぐ。 「は、ぁあ……っ。ん、ふ、ぅ……っ」  キツくて、熱い、秋在の内側。  自分の方が温まってしまいそうだと、冬総は内心で呟く。 「んん、ぅ……っ! あ、ぁあ……っ!」  徐々に、犯されていく感覚。  袖を通しただけのカーディガンは、前を留めていない。  秋在は素肌のまま、冬総に上半身をすり寄せた。 (春晴の体……ヤッパリ、冷てぇな……ッ)  水浴びをしていたのか、もしくはそれ以外の理由なのか……。  原因は分からないにしても、秋在は確かにびしょ濡れだった。  平常運転に見えた秋在だったが、やはり表面は冷えている。 「春晴……いっぱい、気持ち良くなっていいからな……ッ」  ぐっ、と……奥を突く。  そうすると、秋在の吐息が熱っぽく……冬総の耳朶を撫でた。

ともだちにシェアしよう!