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ぱんっ、と……腰を打ちつける。
絶頂を迎えたばかりの秋在には、酷だと分かっていた。
それでも冬総は、秋在が欲しくて堪らなかったのだ。
「春晴、ごめん……ッ」
「ひ、どいぃ……っ。さっき、ボクが欲しがっても……くれ、なかったのにぃ――あっ、んっ!」
「ごめんって……。さっきは、どうしても駄目だったんだよ」
「ぁあっ、んっ! 奥、ばっかぁ……ひっ、ぃんっ!」
萎えかけていた秋在の逸物が、再び熱を持つ。
口では蔑んでいても、秋在はこの行為を嫌がっていない。
……むしろ。
「あぅ、んっ! お、奥ぅ……ゴンゴンって、されるのっ、好きぃ、っ」
――秋在は、悦んでいた。
水をかけられ、物を壊され、隠されても。
秋在は全く、気にしていなかった。
無機物が持つ自由意思だと言って、冬総を翻弄していたくらいだ。
それなのに。
「ひゃっ、ぁんっ! ナツナリっ、くんぅ……っ! もっと、いっぱい……シ、シてぇ、っ!」
多感な年頃らしい、素直で淫らな反応。
そうした、冬総でも想定できうる【普通】の反応を返されるのが……冬総にとっては、嬉しくて仕方がない。
「春晴……ッ」
遠くて、理解できるか定かではない存在。
そんな秋在が、自分にだけ見せてくれる……年相応な姿。
【特別】を見せてくれる方法が……セックスじゃなくたって、かまわない。
ただ、今はたまたま……その方法が、セックスだっただけ。
「んっ、ひあっ、んんっ! また、イッちゃ――ぁんっ、あぅ、っ!」
理解できても、できなくても。
冬総は……秋在が秋在でいてくれるなら、なんだっていい。
こうして、傍にいてくれるなら……それだけで。
「春晴、好きだ……ッ! 好きだ、大好きだ……ッ!」
パーソナルスペースへの侵入を、許してくれた。
弱い冬総でも『いい』と言ってくれたから。
目が離せないと思った、あの放課後からずっと。
「……ッ、出る……ッ!」
「奥っ、奥に出してぇ……っ! あっ、ぁあ、あっ! ひあぁ、っ!」
冬総にとって、秋在は一等特別なのだ。
互いに抱き締め合い、お互いの熱を交換するように捧げ合い。
そうして抱擁している瞬間が、永遠じゃないとしても。
「……春晴、好きだ……ッ」
「はぅ、ぁ……っ。……じゃあ、ボクも……好き、っ」
冬総は、秋在を愛している。
(犯人捜し……サッサと終わらせねェとな)
ぼんやりとした瞳で自分を見上げる秋在を、冬総は強く抱き締めた。
……たとえ、秋在本人が気にしていないとしても。
好きな子に変なちょっかいをかけられて気にしない彼氏が、どこにいるのだろう。
少なくとも……冬総はそういったタイプの男では、なかった。
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