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 秋在の寝間着を、冬総は初めて見た。 「ん……っ!」  パジャマを着ているかと思っていたが、どうやらジャージらしい。  ガッカリしたような、秋在らしいような……。  どちらにしても、初めて見る秋在の姿はなんだって嬉しい……というのが、冬総の本音だ。 「秋在……顔、見たい……ッ」  腰を持ち上げて、距離を詰める。  すると、後孔を犯されている秋在はゆっくりと、首を横に振った。  秋在は今……抱き締めていた枕に、顔を埋めている。  そして、冬総に背を向けているのだ。 「見せてくれないのか……?」 「まだ、だめ……っ」 「秋在、お願い……」 「だめ……ん、っ」  わざと秋在の好きなポイントを擦っても、秋在は枕から顔を背けてくれない。  こうして後頭部を眺めて抱くのも嫌いではないが、やはり、どうせなら顔を見たいというのが男心。  しかし、秋在は頑なだった。 「まだ、十五歳を引きずってるから……だめ、なの、っ」 「それでもいいから、顔が見たい。……秋在、駄目か?」 「だめ……っ」  強情だ。  無理矢理体勢をひっくり返すことは可能だが、せっかくの誕生日。  秋在の機嫌を損ねたくはない。  顔を見ることを諦めた冬総は、秋在のうなじに唇を寄せた。 「ひゃ、あ……っ!」  キスマークの一件以来。  秋在は首に触れられると、甘い反応を示すようになった。  軽く歯を立てると、後孔が収縮する。 「ん……ふ、っ」  枕を握る手に力を込めて、秋在は快感に耐えているようだ。 「秋在、可愛い……ッ」 「は、ん……っ! んん、んぅ……っ」  歯を立て、舌で舐め、痕を残すように吸い上げる。  そうした愛撫を施されれば、首筋が性感帯となった秋在は、ただ甘い吐息を漏らすしかない。 「んぅ、ん……っ! は、ぁ……っ!」  小さな体が、震えている。  快楽を必死に耐えている秋在は、冬総の目には愛しく映って仕方ない。 「ナカ、すげェ、ビクビクしてる。……エロくて、メチャクチャ可愛い……ッ」 「はっ、ぁん……っ!」 「秋在……せめて、声が聴きたい。……それも、駄目か?」  背を向けたまま、秋在はくぐもった声で答える。 「まだ、十五歳だから……っ」 「そっか。……分かった」 「んっ、んんっ!」  奥を狙って、何度も秋在の体を穿つ。  枕に顔を押しつけた秋在からは、くぐもった声しか聞こえない。  それでも、物欲しそうにひくついた後孔が、全てを物語っている。 「秋在、イきそう……ッ」 「ん、ふ……っ! ボク、もぉ……っ」  お互いが達した後。  冬総は秋在の体を抱き締め……ぼんやりと、考えた。  ――どうやら、今日の秋在は。  ――いつも以上に、俺のことを振り回しそうだ……と。

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