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――『触らせてあげない』という言葉だけは。
――未だに、有効だった。
「あっ、ぁあ、んっ」
奥を突くと、秋在は声を上げる。
ゆっくり引き抜くと、体が切なげに震えた。
秋在が喜ぶポイントをわざと穿てば、体は面白いほどに強張る。
――しかし。
――冬総は、秋在の体に触れられない。
(目の前に、秋在がいるのに……ッ)
冬総は今、両手でシーツを握っていた。
仰向けに横たわった冬総の上に、秋在は跨っている。
そして……冬総と繋がったまま、秋在はナカを蹂躙されているのだ。
「やっ、あ……っ! いぃ、フユフサの……んぁ、あっ!」
「秋在……ッ。秋在の体に、触りたい……ッ」
「そ、れは……ダメだって、言ってるでしょ……ふぁ、あっ!」
――快楽によって、ツンと存在を主張している乳首。
――グリグリと指の腹で押せば、意外と激しい反応を示す耳たぶ。
――そしてなにより……甘い吐息を漏らしている、その喉に。
秋在の体は冬総にとって、触りたい箇所がありすぎるのだ。
それでも、秋在は決して許可をしない。
ただ、自分を犯すことだけを、許可した。
(このままでも、十分イけるけど……ッ)
秋在のナカで果てることなんて、なにも難しい話ではない。
……ただ、触れることさえできれば。
――秋在を更に、悦ばせることができるのだ。
「ひゃっ、ぁんっ、ん! やっ、奥、気持ちいぃ……っ!」
濡れそぼった逸物を扱いてあげたら、秋在は更に乱れる。
このまま押し倒せば、秋在の好きなところを更に沢山突くことだってできるのに。
秋在はなに一つ、許可してくれない。
それが、あまりにも……もどかしかった。
「あっ、はぁ、あっ!」
冬総が、このままでも達することができるように。
秋在だって、達することができる。
現に……冬総の逸物を咥え込んでいる後孔は、限界が近付いているということを、徐々に示唆し始めていた。
(クソ、どうすれば……ッ)
秋在の体を下から突き上げつつ、冬総は真剣に思案する。
(たぶん、シーツから手を離したら……怒られるよなァ……)
秋在のことを気持ち良くさせたいが、そのせいで秋在を怒らせるなんて、本末転倒どころの話ではない。
手を使って、秋在に触れることは絶対に許されないこと。
そこまで考えて。
(……そうか、警戒されてるのは【手】だけか)
――冬総は珍しく、悪知恵を働かせた。
「秋在、頼む。……触らないから、そのまま……上体、俺の方に倒せるか?」
「な、何で……っ?」
「その方が、秋在のイいところ……いっぱい、突いてやれると思う」
秋在が、訝しむような目を向ける。
それでも……冬総は秋在の気持ちに、賭けた。
「――俺のことが好きなら、このくらいの我が儘……叶えてくれないか?」
冬総が、秋在に甘いように。
「……ちょっとだけ、だよ……っ?」
秋在もまた、冬総に対して甘いのだ。
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