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 ベッドの上で、冬総は仰向けに横たわっていた。 「秋在。……腰。もうちょっと、下ろせるか?」  その上に。 「……恥ず、かしい……かも、っ」  秋在は、跨っている。  冬総の顔に尻を向けて、秋在は頬を若干赤らめた。  自称『秋在不足』な冬総は、秋在に【顔面騎乗位】を求めたのだ。  何度も肌を重ね、秋在の体を秋在以上に熟知している冬総に対して……これ以上、知られて恥ずかしい部位なんてない。  けれど、自ら秘所を晒すとなると、話は別。  それでも、冬総は秋在を逃がしたりはしない。 「俺が無理矢理近付けてもいいんだけど……できれば、秋在から押しつけられたい」 「言い逃れできないくらいのヘンタイさんだよ、フユフサ……っ」 「秋在相手だと、超ど級のマゾになれるかもしれない……ッ」  軽蔑したような目で振り返られると、それすらも愛おしく思える。  何故か妙に吹っ切れた様子の冬総と揉めたところで、どうにもならない。  秋在はそう、分かっていた。  ――そしてそれ以上に、時間が惜しいとも思っている。 「……今日だけ、だからね……っ?」  呟き、秋在がゆっくりと……腰を、下ろす。  冬総の顔に、秋在の臀部が押しつけられた。 (秋在の顔がよく見えないのは、ちょっと残念だな……)  しかし、秋在の小さな後孔はよく見える。  冬総は口を開き、勃起しかけている秋在の逸物へ舌を這わせた。 「っ、あ……ん、っ」  裏筋を舐められ、秋在が吐息を漏らす。  冬総はわざと唇を押しつけ、音を鳴らした。  小さなリップ音にも、秋在は体を震わせる。 「フ、ユ……フサ、っ」 「ん?」 「音……恥ずかしいから、やだ……っ」 「そっか」  秋在相手になら、マゾにもなれそうだと。  冬総は本気で、そう思っている。  ――だが本来、冬総はどちらかに分類されるのなら【サド】だ。  ――恥ずかしがっている秋在を、もっと見たい。  今の冬総が抱く、紛れもない本心だった。  もう一度、裏筋に唇を寄せる。  そして、音が鳴るように吸ってみせた。 「ひ、ぁ……んん、っ」  秋在は堪らず、声を漏らす。  秋在を辱める度に、冬総の目の前にある後孔の入り口が収縮した。 「超エロい。秋在のココ……物欲しそうにヒクヒクしてる」 「や……っ! 息、かかって……ん、っ」 「またヒクついた。……秋在はどこもかしこも、全部可愛いよ」 「こ、の……ヘンタイさん……っ」  ゆっくりと、顔を動かす。  裏筋を丹念に舐めた後、冬総はそのまま舌をずらした。  顔を上げて、秋在の後孔をジッと見つめる。  そしてそのまま……入り口を、舌先でつついた。 「っ! ま、待って……そこは、恥ずかし――あっ、ん……っ!」  制止の言葉をかけても、冬総は止まらない。  一度タガの外れた冬総を止めることは、いくら秋在でも難しかった。  ……厳密に言うと、秋在なら冬総を止めることができるだろう。  しかし。 「ナカ、だめ……っ! 舌、いれちゃ……あ、ぁあ、っ」  冬総同様、理性が溶けてしまった秋在では。  今の冬総を止めることなんて、できないのだ。

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