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自身が穿いていたズボンを下ろし。
冬総は、秋在との距離を詰める。
「秋在、ごめん。今日は、いつもより余裕ない……ッ」
「ま、って……っ。まだ、イったばっかりで……っ」
「そうだよな、うん。……ごめんな」
分かってくれたのかと。
秋在は、ほんの一瞬でも期待してしまった。
――それが、大きな勘違いだとも気付かずに。
「――っ! やだ、だめっ、ぁあっ、んん、っ!」
硬く隆起した、冬総の逸物が。
秋在の理解を待たずに、後孔へと挿入される。
「は、ぁ……っ」
チカチカ、と。
秋在は、視界が点滅するような錯覚に襲われた気がした。
熱く、硬くなった冬総の逸物は……一気に最奥へと、突き挿れられている。
「フ、ユフサ、の……大き、すぎ……っ」
「……お、おう」
「褒めてないんだから、照れないでよ、ばか……っ」
涙目になりながら、秋在は冬総を力一杯睨みつけた。
しかし、今の秋在では僅かな脅威すらも与えられない。
「秋在のナカ、俺のにメチャクチャ吸いついてくる……ッ」
眉を寄せて、冬総は低く呻く。
――獣のように理性を失っている冬総は、今の秋在でも止めることができない。
――普段の冬総以上に、容赦がなさそうだ。
秋在は全てを理解し、それと同時に。
「あっ、ぁんっ! だめ、やっ、あぁっ!」
――抵抗することを、諦めた。
冬総の背に手を回し、しがみつく。
今の秋在がすべきことは、理性を取り戻させることではない。
「秋在……ッ!」
――愛しい恋人に、体を差し出すこと。
――それこそが、目の前にいる恋人が最も喜ぶことなのだから。
「やっ、あ……っ! あ、まり……激しいの、だめっ、だよぉ……っ」
律動によって、声が途切れる。
それでも秋在は必死に言葉を紡ぎ、せめてもの要望を伝えた。
「――ひぁ、あぁっ!」
――当然、受理はされないが。
冬総は何度も、秋在の体を穿つ。
その度に秋在は嬌声に似た声を漏らし、体を震わせた。
「秋在、秋在……ッ! このまま、ナカに出したい……ッ!」
「だ、だめ……っ! 待って、フユフサ……っ」
「待てない……ッ」
秋在は、分かっていないのかもしれない。
――冬総が秋在を我慢すると、どうなるのか。
――必死に、足りていない分を補充しようとする気持ちが。
「どんどん、硬くなって……っ! 待って、フユフサ――んっ、あっ! ぁあっ、ああぁっ!」
奥に、冬総の劣情が突き挿れられる。
それと同時に、熱い飛沫が注ぎ込まれた。
「う、ぁ……っ」
体を痙攣させながら、秋在は固く目を閉じる。
そんな秋在から、冬総はゆっくりと……逸物を、引き抜いた。
「秋在、ごめんな? 背中、痛いよな……」
「フユフサ……っ」
少しでも、理性を取り戻してくれたのか。
そう考えたのは、僅か一瞬だけ。
「――でも、まだ足りない。だから、続きはベッドでシよう」
秋在は力の抜けた体を、なんとか動かそうとする。
しかし、秋在の抵抗は間に合わない。
冬総は軽々と秋在を抱き上げ、そのまま歩き始めてしまったのだ。
「ちょっと待って、フユフサ……っ。一回、休憩――」
「秋在は、横になってるだけで大丈夫だ。俺が、秋在を気持ち良くする」
「そういう話じゃ――」
「秋在、好きだよ」
「うぅぅ……っ」
まるで、あやすかのような口づけ。
冬総から好意を向けられ、態度で示され……。
そんな中、秋在が冬総を拒絶する可能性は……やはり、一パーセントもなかったのだった。
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