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(1 : 3 *微)

 モグモグと。  秋在は、冬総の耳たぶをピアスごと噛んでいる。 「あ、あの? 秋在、さん?」 「あむあむ」 「く……ッ! やめてくれ、秋在……ッ! 唾液の音がダイレクトに鼓膜を振動させて、なんかヤバい……ッ!」  いきなりなにが起こったのか分からず、冬総はただひたすらに動揺した。  そうすると、秋在が囁く。 「ボク、ナツナリくんのお願いを四回聞いたよね。だから、ボクも四回お願いする権利がある。……そうだよね」 「あ、あぁ。そう、なるな?」  名前を三回呼ばせ、一回だけ録画のお願いをした。計、四回だ。  しかし、いったいなにを頼まれるのか。冬総は頭をフル回転させて……。  ――まさか。  冬総の頬に、一筋の汗が流れる。 「――逆転願望か……ッ!」 「――ないよ」  唯一の不安を、秋在はコンマレベルの速さで否定した。  冬総は無意識に強張らせていた体から力を抜き、ホッとひと安心する。 「そ、そっか。なら、あとは大丈夫だ」 「じゃあ、ボクの前でひとりエッチして」 「あぁ、モチロ――なんだって?」  必死に、冬総は上に乗る秋在を見上げようとした。 「それはつまり、抜けと? 秋在を目の前にして、秋在に触らず、一人で抜けってことか?」 「ウン。そして、二個目のお願いは【その様子を録画させて】だよ」 「嘘だろッ! そんなの撮ってどうするんだよッ!」 「ナツナリくんは同じ状況になったら、録画したものをどう使う?」 「たぶん毎日見る」 「同じだね」  冬総は眉を吊り上げて、勢いよく反論し始める。 「――俺だって秋在のソロプレイ動画を撮ったことがないのにかッ!」  しかし、秋在の態度は素っ気ない。 「ボクが降りたらすぐに始めてね。これは三個目のお願いじゃなくて、一個目のお願いの付属品だよ」 「く……ッ!」  秋在はすぐさま冬総から降り、スマホを用意し始めた。 (マジか? マジなのか……!)  恋人に撮影されながら、自慰行為を始める。  しかも、恋人の家――恋人の部屋で、だ。  起き上がった冬総は、そっと秋在を見つめた。 「秋在、秋在。せめて、秋在に触りたい。どこでもいいから、秋在に触らせてくれないか?」 「それじゃあひとりエッチじゃないから、ダメ」 「ぐ……ッ!」  秋在の小さな手が、冬総のベルトに触れる。 「――できるよね、フユちゃん?」 「――できる」  ベルトを引き抜かれた冬総は、反射的に頷いてしまう。  後悔先に立たずとは、まさにこのこと。  男に二言はないというのも、まさにこのことだった。 「……見ても、別に楽しくないぞ」 「それを決めるのはボクだよ」 「今日の秋在、やけに男前だな。愛してるよ」 「ボクはまだ嫌いだけどね」 「萎えるようなこと言わないでくれ……」  ズボンを寛げ、冬総は下着から萎えている逸物を取り出す。 (とんだ羞恥プレイだな……)  そんなことを考えながら、冬総はため息を吐いた。

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