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香る一夜
風呂場でお互いの身体を愛撫するように洗いあった後、準備をしたいと言った斎藤の手を振り解き、紫音はトイレに立て籠もり一人で準備をしてしまった。
バスローブを羽織りベッドに座って待っていた斎藤を見ると紫音はふふっと笑い、キッチンから灰皿を持ってきて渡した。
「吸っていいですよ」
「何でわかった?俺が煙草吸うの」
「髪に、匂いが少ししたから」
まだ立ったままだった紫音は風呂場に消え、すぐさま戻った手には斎藤の煙草とライターがあった。
ありがとうと受け取り煙草を咥えると紫音がライターで火をつける。
じじっとフィルターが燃え、斎藤は美味しそうに煙を吸って吐き出した。
「あ、歯ブラシの予備ある?歯磨きしないと」
「……いいです、あなたの匂いになるから」
今つけた煙草を灰皿で押し潰すように消すと斎藤は紫音を抱き寄せ唇を重ねた。
「紫音、抱きたい」
「…………はい」
離れがたいとでもいいたげに軽いキスをすると紫音がベッドから立ち上がりサイドテーブルの引き出しからローションと避妊具を持ってくる。
部屋の灯りを落とすとベッドに上がり、クッションをベッドボードに重ねるようにして置くとそこに凭れゆっくりと脚を開いた。
「少し、慣らすので、待ってください」
下着をつけていなかった紫音の下半身が露わになる。
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