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香る一夜
ローションを手に取ると紫音は袋から下に塗りつけ、片手で袋を持ち上げるようにしてからもう片方の手の指で後孔回りを撫でた。
ローション独特の粘着の音をさせながら指がゆっくりと後孔の中に飲み込まれていく。
時折洩れ出した鼻にかかるような甘い紫音の声と吐息に襲いかかりたくなるのを堪え食い入るように紫音の行為を見つめた。
「ん、ぁっ、見すぎ、です」
「見ずにはいられないだろ」
斎藤が紫音の膝を持ちさらに開かせるようにしながら聞く。
「触りたい、それ、俺がしたい」
紫音はこくんと小さく首を縦に降ろした。
紫音の腰を軽く自分側に引き、脚を開かせると後孔を言葉もなく見つめる。
「…………やっぱり、やめておきますか」
身体を起こそうとした紫音の身体がびくりと引き攣る。
斎藤の指がそこに触れた。
「紫音が自ら濡れてるみたいだ……」
明らかに欲情した甘い声で独り言のように呟かれ、紫音の両脚がふるりと震える。
濡れた音を立てながらゆっくりと入ってくる自分とは違う指、予想できない指の動きに紫音は洩れる声や息を必死で堪えた。
入り口を解すように指をぐるりと回され紫音が声を上げると斎藤は嬉しそうに笑い紫音の震える内腿に吸い付いた。
「紫音、キスマーク、つけてもかまわない?」
「………え」
「ダメ?」
「…………ダメです」
斎藤は予想していたとでも言うように軽く笑うと、ずるりと音を立てながらゆっくりと指を抜いた。
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