38 / 93
迷う二夜
「そもそも、どういう店なの?」
「さぁ?何かしらの目的があるのでしょうが、外れなら私のように賭けチェスやオセロをしたり、
ただお酒を飲んだり。
そうでなければ当たり、ということではないですか」
詳しい話しは聞いたことがないですけどね、とマスターは流す。
俺はどっちなんだ。
斎藤は倒れ込むようにカウンターに突っ伏した。
「マスター、ここだけ、俺と2人だけ、他言無用、できる?」
心外なという顔をしてマスターが頷く。
「口も身持ちも固く、が信条です」
思わず笑ってしまった後、斎藤は座り直してから口を開いた。
「名前、を聞いたんですか」
正にびっくり、という顔をしてマスターが絶句した。
斎藤は何がそれほど驚きに引っかかったのか理解出来ずマスターを見て固まった。
ともだちにシェアしよう!