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迷う二夜
顔を背けたままの紫音をさっきよりも独占欲を顕にして抱きしめる。
「紫音…好きだ」
「………っ」
「もし俺が好きなら、俺以外のヤツとはもう寝てほしくない」
「………本気にしたんですか?」
斎藤の胸に顔を埋めた紫音がまだ拗ねたような口調で呟く。
「紫音、どこからどこまでが本当?」
ため息まじりで斎藤が問うと紫音が軽く笑う。
「あなたを、好きだと言ったら信じますか?」
目元を染め、若干震える声を隠そうと無理に浮かべた笑みに答えるように斎藤は微笑み返す。
「信じるよ」
紫音の顎にそっと手をやり紫音の顔を上げさせる。
「同じ気持ちなら抱いてもいいだろ?」
顔を傾け口づけを予感させる斎藤の仕草に紫音の頬にまた赤味が指した。
「紫音も俺を好きなんだと自惚れて、好きだと囁きながらこの前よりも紫音を甘やかして蕩けさせたい」
紫音の目に一気に水の膜が浮かび上がった。
揺れるような黒目を見つめて軽く唇を額に頬に落とすとだらんと下げられていた紫音の手がそろそろと斎藤の腰辺りを掴んだ。
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