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蘇る四夜
ふと目が覚めた。
部屋が暗いということはまだ朝ではない。
ソファの脇に置いてあるルームライトがぼんやりと灯りを灯す中、いつものように自分の身体に巻き付く腕をそっと撫でた。
寝返りを打ち向き合うと穏やかな寝息を身近に感じる。
こんな風に抱かれ、寝顔を見られるなんて思わなかった。
頬にそっと手を伸ばす。
あなたはずっと遠い人。
私の思いどころか、手すら伸ばせない人。
そう思い顔を覚えられる前に消えた。
違う形で会えた時は絶対に離さない。
そう言える自分になると誓ったのに、あの頃から私は少しも変わっていない。
明日が怖い。
あなたが離れる未来が怖い。
愛される幸せなんて教えないで。
あなたに求められる歓びなんて…これ以上知らさないで。
出会わなければよかったと思いたくないから……………
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