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蘇る四夜

いつものように店を開け、ぽつりぽつりとやってくる客に仮面のような笑みで対応し、夜が更ける。 閉店時間が迫り片付けを始めた紫音の目にあのチューリップが映る。 滅多に売れない紫のチューリップ。 明るく鮮やかな花たちばかりが望まれ選ばれていく。 人間と同じだ。 全て売れたと喜んだ店主が仕入れたチューリップは日に日にまた隅に追いやられ、それでも変わらぬ美しさを保つ。 「散る前に僕が買うからね」 紫音が呟き終えた時半分ほど閉めたシャッターがガシャンと派手な音を立てた。 「すみません!」 その声に身体が震えた。 まさか。 そんな訳ない。 はい、と声のする方に歩き出せ。 そう思うのに、縫い付けられたように濡れた床から脚が動かない。 「すみません、あ、いた」 身体を折り畳むように男がシャッターの下から顔を出し、暗い店の奥に佇む紫音を見、笑った。

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