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第36話

「その根拠はなんだ」 「だからっ…………シオリさんさんが、……俺の…………」 「ん?」 「気がついたら、シオリさんが俺のあれを咥えてた…………んだ」 「……マジかよ」  どういうわけか、消し去りの途中で意識を戻したらしい。そこで自分がされていることに仰天したわけだ。 「だからどんな顔していいかわからなくて、寝たふりしてました……まさかシオリさんが泣くと思ってなくて」 「そ……それならよかった。いや、よくないのか? ああっ! もうわかんねえっ」 「……すみません」 「リョータ、ちゃんと話すから聞いてくれ」  消し去りをする一連の流れでひとつだけ、リョータに言えなかったこと。リョータの身体から取り憑いた霊を取り出す方法が、あれだったことだ。 「じゃあ俺、何回もシオリさんに…………」 「おい、襲われたみたいな顔すんなよ。俺だっていつもお前に悪いと思いながらしてたんだ」 「…………うん」 「まあ、だけど……ごめんな、なんか」 「別に……怒ってるわけじゃないです。恥ずかしかっただけ。あの、シオリさん?」 「ん?」 「ありがとう、何度も俺の命を助けてくれて」  これはふたりの宿命だから、仕方の無いことなのに。リョータは自分が死ぬような危険な目に遭うことよりも、シオリが助けたことの方が重要らしい。どこまでもどこまでも愛おしい存在に胸が締めつけられる。 「リョータ、俺は怖いよ」 「え?」 「こんなにお前が大切なのに、これからもいろんなことが起きるかもしれない。また、お前を危険な目に遭わせることだってあるだろう」  宿命に逆らって接触を持たなければ、今生のふたりは無事でいられたのだろうか。考えても答えなど出ないことはわかっているのに、止まらない。 「そうだとしても、俺はシオリさんに出会う前の人生には戻りたくない」  きっぱりと、リョータは言い切った。その真っ直ぐさ、強さはシオリにはないものだ。手を伸ばそうとする前に掴まれた手首を引かれる。 「俺も……したい」 「え?」 「シオリさんの舐めてみたい」 「ばっ……ばか……ダメに決まってんだろ」  そんな、罪悪感半端ない行為は無理だ。それなのに不満げな上目遣いにぐらりと脳みそが揺れる。 「なんで? 俺の、ずっと…………してたんでしょ?」 「それはっ……必要にかられてだな……あっ、リョータ」  言葉では抵抗するものの、股間に顔を近づけベルトに手をかけるリョータに見入ってしまう。 「やっぱでけえな……エグい」  男子高校生の無遠慮なコメントにガラにもなく赤面しながらその信じられない光景から目が離せない。 「うっ……」  慣れない舌使いが逆に予測不能にさせて、気を抜けば爆ぜてしまいそうになるのをぐっと堪える。低く呻くと、唇がめくれそうなほど深く咥えながら、涙目で見上げられた。 「やめろ……その顔」 「あっ、なんで……」  リョータの口元からずるりとそれを抜き去ると肩を掴み唇にかぶりついた。苦しげに呻いても口の中を蹂躙し続ける。 「んっ……ふ、あ……シオリさん」  何度も名前を呼ばれ、呼び返す。リョータ、と口にするたび、自分のものにするのだと執着が高まる。もう戻れないところまできてしまったなと思う。  そこに触れられることにまだ抵抗があるリョータの掌を縫いつけると、痣が触れ合って燃えるように熱くなる。それでも絡めた指を離さずに胸の突起に舌を伸ばした。 「ああっ!」  身を捩り、涙を流しながらリョータが達するまで舐めて、転がして。吸い続けるのを止めない。水音が響くたび身体をしならせるリョータの顎をとらえ、時折唇も愉しみながらも、執拗に指と舌で乳首を愛撫し続ける。 「やだっ……そんなにしたら形が変わりそうっ」 「嫌か?」  リョータは大きくうなずいたのに、シオリはさらに指で強く擦り、ぎゅっとつまんだ。 「ひっ……あっ、なんで……」 「醜くなるとでも思うのか?」 「そう、あっ……ヘンになっちゃう」 「なればいい」  瞳を見開いたリョータが、唖然としているが構わなかった。 「そうしたら俺にしか見せられないだろう? まあ、そもそもどんな風になったって俺は醜いなんて思わねーけど」 「そう……なの?」 「じゃあお前は、俺がヨボヨボのジジイになって、禿げ散らかったら醜いと思うか? そんでもって嫌いになるか?」 「なるわけないっ!」  リョータはぶんぶんと左右に首を振った。 「俺だって同じに決まってるだろう。お前がどんな姿になったって、醜いとは思わない。愛しているのは変わらない」 「あ、あい……?」 「そう、愛してる。だからお前は俺だけに抱かれてろ」 「シオリさん……や、今度はなに?」  腰を引き寄せて顔を埋めた。 「意識があるときにやんのは初めてだな」 「嘘だろっ、おい、やめっ……」 「やめるわけねーだろ。俺が、お前の舐めるところ、しっかりガン見してろ」 「あっ、うそ、ん……ふ、ぁ」  先端に軽く口づけてから裏筋に舌を伸ばす。陰嚢を揉みしだきながらちゅぷちゅぷと音を立てて吸い上げる。 「また……いきそうになる」 「何度でもいけ」

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