それで頭を真っ白にしてしまえばいい。フェラチオを続けながら窄まりに指を這わせる。 「や、シオリさん……」 　引けた腰を手繰り寄せ、親指で円を描くように撫でてからべろりと舐めあげた。 「んんーーっ、やあっ……」 「力抜いて、リョータ」 「あっ、できないっ。もうやだ……恥ずかしい」 　舌先を尖らせて奥に進める。陰茎を扱きあげると、きゅんと締めつけるそこが徐々にやわらかくなってくる。夢中で舌を差し入れた。 「ああ……んっ！」 　身体を捩るリョータに頭をぐいぐい押されるが、シオリは離されまいと太ももを掴んで固定する。 「俺ばっか、何度も……うあっ」 　ぐずぐずになったそこに指を埋め、再び口淫する。シオリの頭を締めつけるように挟んでいた力が徐々に弱まってくるとぶるりと震えて、戦慄きが全身に拡がった。 「ああっ……また……」 　口内に放たれたものを嚥下しただけでは飽き足らず、残滓を搾り取るように吸い上げると、リョータはビクンと跳ねてシオリの頭を抱えた。呼吸は荒く、何度も達したためかうつろな目をしている。 「バテんのは早いぜ、リョータ」 　中のものを搾り取るだけではまだ、足りない。 　今度は己のものを埋め込んで、存分に飲み込ませたい。自分勝手な欲は留まるところを知らず、うすら恐ろしくなる。 　それでもなんとかコンドームを取り出し、装着しようと手を伸ばすとそれを阻まれた。 「……リョータ？」 「いいよ、そのままで」 「でも」 「挿れたいんだろ？　ナマで。シオリさんの気持ちがダバダバ流れてくんだよ、こっちに」 　息も絶え絶えなはずなのに、生意気そうな瞳の色は変わらず、どこか挑戦的だ。初めて繋がってから数度のセックスは、大事に大事に抱いていたのに。 　わずかに残っていた理性なんて、いとも簡単に吹き飛んでしまう。 「………………お前、その言葉忘れんなよ」 　リョータの半身を抱え、引き寄せると一気に奥深くまで突き入れた。 「あうっ……！」 　最奥を突いたままぐりぐりと結合部をぶつけるように摺り合わせる。快感を拾うには程遠い動きにリョータは驚愕の表情を浮かべているが、止まらない。ひとしきり奥の奥へのマーキングを済ませると、今度は激しく抽挿を繰り返した。逃げないように肩上で組んだ腕を首に引っかけて、引き寄せながら下半身をぶつける。 「あ、あ、あ、あっ…………あぅ……うあっ……」 　苦しそうな様子なのに、リョータは腕を伸ばして、すがるようにシオリの肩を掴む。言葉はなくともリョータが求めていることはわかって、繋がったまま身体を持ち上げて膝の上に乗せた。 「はあっ…………」 　荒々しい行為から一転、ぎゅっと抱きあって、しばし上がった互いの息を落ち着かせる。 「大丈夫か？」 「今さら聞く？　それ」 　自制のきかない行為を振り返り赤面するシオリの頬にリョータの指がそっと触れた。すうっと唇が近づく。ぴちゃりと舌が絡まる音がすると、そこがきゅんと締まる。あわせてシオリの性器も笑えるくらい波打っている。 「んっ……」 「中でドクドクいってる。シオリさんの」 「そういうこと言うなよ……お前が言うと生々しすぎて罪悪感半端ない」 「でも、気持ちよくて」 「だから大人を翻弄するなよ」 「すごく……愛おしい」 　唇を重ねながら、下から突き上げる。ぴったりとシオリに抱きついているリョータを抱え上げると、堪えきれずに漏れる喘ぎ声が耳のすぐそばで聴こえて、さっきからショートしっぱなしだ。 「あ、あ、んっ、ん……し、おりさんっ」 　このままドロドロに解けて、境界がわからなくなってもひとつでいたい。 「そんなの、恥ずか死ぬわ」 　そういえば、抱きあっていると時折感情が駄々漏れになるのだった、リョータには。年甲斐もないことで恥ずかしいが、制御不能だ。 「ばっ……だから、そういうの流してくんなよっ」 「俺はお前になんて言ってる？」 　ねえ、リョータ。